新天方夜譚物語

昨日は大々的にサッカーワールドカップのことを語らせていただきました。
最近、私は何故、ブログであまり太極を語らなくなったのかとのお問合せも来ています。まあ、私の専門は一応、「太極拳」ですので、毎日のようにブログを書いているのならば、多くの方はきっと太極の色々なことを期待してしまいます。
しかし、当初2回目のブログを立ち上げた時から、「心法」というカテゴリを設けており、太極はただ体を動かして練習するだけではなく、一人の太極門弟子としてはその日常生活もできる限り穏やかな方向へ整えていることが大切だと言っています。つまり、太極の練習はどのように暮らすのかにもかなり大切な部分です。
少し広い意味では、サッカーはどのように観戦すれば体によいのか、サッカーの裏ではどれほどの素晴らしい人間力が隠れているのかと……社会の中でもどれほどの素晴らしい人間力が我々が発見していないのかと、我々は色々と自分自身の貪欲で人の素晴らしい人間力が理解できなくて、太極勁の練習は人間の練習としての悟りが大切です。自分が知っている素晴らしい太極勁を習得した人間はいずれも素晴らしい人間力を持ち主です。
こう考えると、自分自身の太極勁はまだまだ相当レベルが低いはずです。

そして、話題が急に変わりますが、今年で私がいただいた問い合わせの中で最も目立つのは、太極の動きを自分の武術に入れたいとのことです。私ははっきりと断っています。理由は簡単ですが、太極は自分の感覚で申しますと、一つの動作よりも、108個の動作を連続して練習して、それを一つの動作のように動けられて更に何万回も繰り返しして練習すればやっと武術として使えるようになります。これはつまり、太極は他の武術よりも、「四両抜千斤」、「用意不用力」、「彼不動、我不動。彼微動、我先動」の世界ですので、他の武術が使えることよりももっと時間がかかることが当たり前です。ですので、本当に太極を使えるように練習する気でしょうかと…
そして、ここも太極と関係ない話をしたいと思います。かなり有名な格闘家の方がまったく未経験の青年に一つの格闘の動作を教えました。そして、青年は先生に、この動作はどうやって人を倒すのかと聞きましたね。実は先生はこう言いました。「あなたの今のこの動作は人を倒せないよ、一万回もこの動作を練習していれば、その時やっと人を倒すことができます」と…
ですので、太極拳も同じです。教室の勉強で最初の日に一つの動作を学んで、その時に教える人はすぐにこの動作でどうやって人を倒すことを教えるならば、その太極拳を教えている人は偽物に違いありません。格闘技もこのようなことがあり得ないので、どの武術よりも時間がかかる太極拳で学んだ初日に人を倒す方法なんか教えてもなんの意味もありません。つまり、学んだ動作で人を倒せないからですね。
呉式太極拳、募集しています。年末は28日の水曜日まで教室があります。