第312話 太極の断点とは
- 2016/06/30
- 01:43

今日になるとあまり知られていない太極修練の方法論の一つとして、「転換承接、気沈開合」の間にできる限りの努力で断点を無くす修行論があります。これは本来ならかなりの秘伝ですが、しかし、今日になって、一部の太極家元の人間までがこれほどの複雑な修行をすれば人生が苦しくなると言うようになったことから、これをオープンしても、しっかりと受け止める方は少ないと思います。よって、堂々とオープン致します。ネットでこの...
第311話 氣遍身軀不稍癡
- 2016/06/29
- 00:50

武禹襄太極拳論の一句です。原文はこうです。立身中正安舒,支撐八面,行氣如九曲珠,無微不到,所謂「氣遍身軀不稍癡」也・・・氣遍身軀が申すのは、内勁が満遍なく体の隅々まで均等に分布していることです。言わば、無微不到ですね。丹田に内勁を集まることよりも、丹田というところが重心の中心である為、丹田に一番近いところの腰椎による回転や移動が武術として一番望ましいことになります。武術の一部は、体の一つのパーツで...
第310話 中定
- 2016/06/28
- 11:25

太極中定に関する文書です。 伸屈开合之未发谓之中,寂然不动谓之定。心气清和,精神贯顶,不偏不倚,是为中定之气,亦道之本也。その具体的な意味はこう解釈します。体の伸びも縮みも、開合も太極の意図を何も見せなければ「中」と言います。気持ちが落ち着いていれば「定」と言います。清らかな脳の状態での内力、首が自然に伸ばし体のすべてが脳と自然な状態との繋がり、オーバーな力みで内面と外面のひずみを無くせば、体内で...
第309話 心気之中定
- 2016/06/27
- 11:30

呉公藻著作の【太極拳講義】が曰く、「慢者缓也、慢所以静、静所以守、守之谓定、此即心气之中定也。」太極はゆっくり動けば体全体が穏やかになり、ついに静かな気持ち落ち着きが実現します。そうすれば守る気持ちが固め、攻めをはっきりさせない守りは「定」と言います。これこそ、脳と内勁の「中定」であると説きます。無制限にゆっくりと太極拳を練習することはないです。当研究会では一般的に30分くらいの練習になります。これ...
第308話 身有所感、心有所覚
- 2016/06/26
- 07:15

宋遠橋の言葉になります。呉公藻【太極拳講義】にも同じ言葉を引用しております。身有所感、心有所覚。有感必有応、一切皆为感、感则必有応、所应复为感、所感复有応、所以互生不已。感通之理、精義入微、以致用也。推手初步、専在磨练感觉。感覚霊敏、則变化精微、所以無穷也。中国語の太極拳用語で申す心は脳と解釈します。体が何か感じれば、脳へ伝わってきます。体中の通路が閉じていれば当然、脳へ伝わる速度が落ちます。病気...
第307話 太極の最も難しいこと
- 2016/06/25
- 00:02

太極修練の最も難しいことはおそらく、舎己従人になります。呉公儀【太極拳講義】ではこのように書かれています。舍己従人、是舍弃自己的主張、而依従他人動作、在太極拳中为最难能之事。因两人在交手之时、勝負之観念重、彼我决不相容、何况互相攻撃・・・その意味ですが、舍己従人は自己の主張を捨てて、他人の動作に従うことです。これは太極拳の中で最も難しいことです。二人の人間が戦っていれば勝負感はかなり重いでしょう。...
第306話 鹧鸪天【林断山明竹隐墙】
- 2016/06/24
- 02:13

中国宋朝著名詩人蘇徹の詩でございます。林断山明竹隐墙, 乱蝉衰草小池塘。 翻空白鸟时时见,照水红蕖细细香。 村舍外,古城旁, 杖藜徐步转斜阳。 殷勤昨夜三更雨,又得浮生一日凉。 この詩は蘇徹が黄州という小さな街に左遷された頃の作品です。この詩は彼の隠居生活を描くものです。詩の中では雨後の遊覧で得た心地よさを表現しています。最初の四句は秋の始まりの頃の景色を描いていました。立体的な風景が現れました。...
第305話 人貴有自知之明
- 2016/06/23
- 00:20

本日は中国語の言い回しです。実質に、人間と動物の違いを表しています。古代哲学者は自分自身を知ることと人間自体を知ること、人間を知ることの研究を進んでいました。人間は自分自身を知るのは当たり前ですが、近代になると多くの人が自分自身の限界を認めようとしません。それもそうです。社会が人間を限界へ押し上げていることで人間は様々な挑戦にさせられてきました。飯を食う・・・一生懸命・・・仕事だから仕様がない・・...
第304話 拳打萬遍,神理自現
- 2016/06/22
- 11:33

本日は陳氏巨匠の言葉です。・・・每一勢拳、往往數千言不能罄其妙、一經現身說法、甚覺容易、所難者工夫、尤難者長久工夫、諺有曰:「拳打萬遍、神理自現」、信然。太極拳の一つの動作は長文でも、その素晴らしさが解釈しきれないでしょう。上級者が体で教える際は誰もが簡単だと思われますが、実際に難しいのは修行です。特に長い期間の修行です。ことわざが曰く「拳法は万回を修練すれば、自然にその最上の御摂理に到達するでし...
第303話 似鬆非鬆
- 2016/06/21
- 11:26

昨日は太極の動きがどの状態であるべきかを述べたのですが、本日はその続きです。【武禹襄太極拳解】が曰く、似鬆非鬆、將展未展、勁斷意不斷の中の鬆と展はまさしく、太極の最も大切な状態になります。しかも、人間である以上、この状態が完璧になることは永遠にないでしょう。積極的に申せば、太極勁は無限に向上し進歩していくことが可能です。裏を返せば、太極は他の色々な武術以上に時間がかかります。鬆、力んでいない状態で...