第1014話 先天の制限
- 2018/05/31
- 08:28

今日では太極も合気道も、世界各国の様々な伝統武術がスポーツ化されつつ中で、伝統武術が一体何を求めているかは本当に忘れ去られている気がします。太極は最も細かい間合を求める為に色々と人間本来の当たり前の動作、専門用語で申すと先天を制限すべきだとの基礎理論は今日の世界の多くの太極研究家に遺棄され、残されているのはもはやいかにも先天的な機能で太極拳の動きを使っての所謂用法でのぶつかりのみが目立ちます。
では、人間の先天状態から離脱するのにどのような作業が必要だろうかと聞かれれば、本研究会員以外の方からの質問は基本的に答えないようにしています。まあ、顔を合わせないとこれは本当に説明しづらい問題ですね。元々、太極が五大流派の高い囲いの中で密かに伝授うされていて、太極の色々な核心的なことに触れるのはもはやあり得ないのが中国の伝統そのです。当然、これでは本当に一部の流派が失伝が目立つのも避けられないことになりますね。上海鑑泉社は先代の満族の開放的な考えもあって、努力を前提にして、一定の理解力を持つ内弟子以外の学生にも本物が伝わっている程の伝授は本当に感激的な物語になりました。
しかし、人間は先天から離れる作業は簡単ではありません。そこには僅かな俺流も許されないものです。先代は多くの方に懸命に太極の領意を教えていたにもかかわらず、今日の呉式太極拳の形ずれは嘘のように目立っていますが、人間がどこかで適当に自身の解釈でこの世にすべてを解釈してしまう癖から考えると、このような現象は全然おかしくありません。私達の親戚の楊家の教室では何故かその名高い伝説もあって、世界中の色々な国からその名を憧れて勉強しに来る方が来られていました。当然、これは前の世紀の80年代のなかばの話しです。秘伝がのこされていると信じられましたね。しかし、その教室に来たら、来る日も来る日も太極長拳を練習される始末で多くの外国人の方はもうそれに飽きてしまい、中には直接に秘伝をリクエストする方もいましたね。更に一部の人は楊式太極拳の教室にもかかわらず、他の中国武術の拳法をやりだしたとかで、これで何度も事件が起きていたと伺っております。楊式太極拳の家は人間性の優れた方ばっかりですので、こういう時は頂いたお月謝を全額返還して、教室から離れることを優しく勧告するだけです。
太極拳を覚えたからもう練習しなくてもよいとか、俺は頭がいいから太極拳の動作は忘れなくなってもうあの先生のところに通う必要がなくなったとか(率直に申すと自分で練習すればよい)、あの先生は保守的で慢架以外は何も教えてくれないとか…何故かこのよには太極拳を教えている者に対する不満はいつになっても絶えないようです。しかし、これだけは申し上げておきますが、一人の人間は自分の先天から離れることは生涯の努力が必要です。そして、固有分明をチェックする者も数十年の正しい訓練を続けている者に限ります。
太極拳が覚えたからもう出来上がりだと考えている者は論外です。
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