第1136話 ローマは一日してならず
- 2018/09/30
- 13:08

Rome was not built in a day
この諺はなんと英語にもなっています。古代では「すべての道はローマに通ず」と言われた程に繁栄していました。しかし、これ程の古代ローマ帝国も、築くまでは7百年ほどかかり、長い艱難辛苦の歴史があって、短期間で完成できることは有り得ないです。
まして、人間の体ですが、私が知っている限り、極真空手創始者の大山総裁が空手を完成させるには10000日かかるとの名言が残されています。ダンスや各種類のスポーツ、中国武術も制定と伝統を問わず、日本武道や世界各国の格闘技はどれも完成するにはかなりの時間がかかります。勿論、私の専門である太極も同じです。
中国古代の漢文化では、「十年樹木、百年樹人」と言う言い回しがあります。これは、一本の木を育つにはおよそ十年、一人の人間を育つのはおよそ百年かかってしまうことになります。日本国は長寿の国として有名ですが、それでも到底、人間の寿命は今日のところではまだ簡単に百に到達できるものではありません。ということは我々は自身の命が閉じる時までも自身を完全に育ったことがほぼ有り得ないです。
昨日まで、北海道で自称後期高齢者の方から小学校3年のお子様まで呉式太極拳を指導して参りました。私が教えている武術倶楽部で他の中国武術を教えている先生の方も来ています。本来なら太極門の一員としての私はその方のご希望に添えないことになりますが、実際に教えることにしました。やりたい、勉強したい気持ちが通じました。人間は百年かけて自分自身を育っていくべきだとのお気持ちに感激させられ、私は特別に許可をしました。今回の練習ですが、他の武術先生は足が曲がらずになり、階段から降りるのも困難でした。それでもメールでいい練習になったと言っています。
もちろん、武術家や武人の私達が育つべきことは武術の強さだけではありません。一人の武術家は自身の人間力を生涯かけて育てていくべきだと思います。これは当然、この私も同様です。武術の進歩、人との接し方、教える立場にいる人間は武術の伝授と共に訓練していく平等的な気持ちの習得、武術の全体的なレベルの向上への工夫と貢献など、武術家としての百年計画は、自身の寿命がどの位か、自身が生涯に渡っての学習への覚悟とその努力の継続がすべてです。
北海道中国武術倶楽部の多くの先生は漢文化の「百年樹人」感覚に近い人間力への努力を続けています。これがその倶楽部の教えを承認した原因です。呉式太極拳は確かに難しいです。私の研究会では多くのご年配の方も自身の体の衰弱に負けずに一定の健康効果を得ました。北海道の皆様は短い時間にも関わらず本当に頑張りました。日本一の倶楽部になると確信しています。懸命に手伝わせていただきます。


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