第1190話 太極拳の制作
- 2018/11/23
- 12:16

ネットでは、中国武術の巨匠やMaster、sifuや一代宗師の動画が沢山並ばれていますね。一般的に真面目に武術を練習している人位ですぐに偽物であることは簡単にわかるものの、武術の商売としての宣伝は一向になくなりません。まあ、武術を教えるには特になにかの免許が必要ないし、いつの時代になっても武術が好きな人は現れます。私が若い頃に中国上海の各公園で展開している太極拳教室が、今日の先進技術によってその動画がこのままネットで反映されているだけの話だと言いたいところですが、実際のところ、私の若い頃よりも、今日では沢山の新しい太極拳が作られました。
こう申し上げていて、私は決して制定太極拳で新しく沢山の套路が生まれたことを批判したつもりではありません。制定太極拳は一種のスポーツであり。たとえ武術という名を名乗っても実質は 武術の形に似ていて、本質的な武術ではないこともあって、私達太極門の人間は特に批判する必要がないと思います。そして、1980年と言う年に我々太極門五代流派の家元も公に太極拳を教えることが出来るとの恵みを頂きました。その代わりにと言ったら恐れ入りますが、国家よりは制定太極拳にも理解と支持のお願いがあって、太極門一同が承諾した上での今日の我々の自由に太極拳を教える資格でございます。私のように海外に移住している太極門の人間にしても、中国人である以上決して制定太極拳を批判することはしません。
もちろん、如何なる国においても不正採点や太極門や伝統中国武術の家元を適当に汚す行動は誰もいただけないと思いますが、国民性によって容認されているか否かは基本的に私はその国の国民の方々に任せるしかないです。
はっきり申すと伝統と名乗っている太極拳巨匠が適当に新しい太極拳を制作することは、太極に対する冒涜の他になんでもありません。もちろん、中国太極門五大流派のどれも、創始者がかなりの長い間の凄い修行を続け、自身が納得した形を定めるプロセスを通っていました。今日の新しい太極拳を拝見していると、武術の動作の基本、拳の握り方さえ間違っている人はかなり多いですので、なんの修行もせずにして適当に新しい太極拳と武術や気功を作り、適当に武術流派をでっち上げていることは明白ですね。
これは、ただ商売の為です。人は、生涯にかけて同じ太極拳を無味乾燥に繰り返しすることは嫌になってしまいますね。特に近代人。気分転換で新しい太極拳を作れば人々が向いてくれることはわかりますが、嘘を伝授してはいけないですよね。伝統太極拳は健康か武術のどっちらかがかかっていますので、その効果がないといけませんよ。
本日もついつい、沢山語って参りました。伝統太極拳は基本的に健康か武術性のどちらかが得られることになります。これは、是非とも色々な教室の太極拳と試してください。健康を得たのかそれともあちらこちら痛くなって怪我をするのだろうか、少しでも武術の進歩を実感したのかそうではないか、太極という武術は自身にあうかどうかの色々な確認が必要です。まあ、これは固定観念が強い中国人や日本人はかなり難しいでしょうが…
日本武道に似ているように中国武術も太極門も現在、分裂が激しいです。先日、鑑泉社副社長で私の師父の一人が北京の呉式太極拳の主要たるメンバーと歓談しました。北京の王培生先生の門下や他の代表の皆様はどなたも呉式太極拳の南北による分裂を認めていません。適当に流派や太極拳を作ってしまう行動は所詮、邪道であります。
長い歳月の中での太極拳の形の変動や套路の喪失は仕方がないことですが、修行もせずにして適当に太極拳を作ることは、ご本人にもついて来た学生にも同様に申し訳ないと思います。ご自分が適当に作った太極拳を練習することは、きっとその害を受けるからです。
皆様、正しい太極拳を学びましょう。


スポンサーサイト