第1193話 延年薬在身、元善従復始
- 2018/11/26
- 14:42

本日のテーマも道の中の生命説に関わるものです。道の養生術は人間の命の質への研究であります。古代の養生家が考えていた動の養生と静の養生を体で理解すれば、生命の質を上げる薬は我々の身体の中から生まれてきます。我々が生まれた頃の質の良い生命体を望んでいれば、太極の基本と身体の根本から練習すべきです。
こう考えると、少しでも若い頃から太極を訓練したほうがよいことは明白です。人間は年をとると誰もが生まれた頃の良き生命状態より遠ざかっていくはずです。もちろん、太極の基本や身体の根本的な動きも異なる年齢層では練習法も異なるし、同じ年齢層でも身体の使い方で訓練の仕方が異なります。当然、教える人間も一定太極の基本と身体の根本が自身の体で理解していなければなりません。
ところで、はっきり申すと太極の本末転倒は近頃からはじまったわけではありません。太極という名前が世間で知られる頃、人々は懸命に太極が如何なるものかを自身で想像し、適当に太極への解釈もしていましたね。楊氏太極拳の創始者は多くの方が太極への憧れと適当な解釈を懸念し、公に太極を伝授することを決心しました。しかし、我の命の一番はじめの頃に戻る作業はあまりかんたんではありません。毎日の努力もそうですが、人間は何故か、生まれてからあっという間に本来の最も基本的な状態から離れてしまいます。我々が普段に教えている太極では、ほとんどの方がなんだか眠くなって、放心状態になることが一種の我々の生まれる頃の状態になる最初の状態です。そして、人間の脈も徐々にゆっくりなっていくはずです。わかりやすく言えば、元善に近付けたことですね。
私達の動きがちょっとずつ、より正確な動きとより無駄がない動きへと変化していかなければ、私達も段々と元善から離れてしまいます。
適当に作られた武術や武道を練習することや正確ではない練習法の元で訓練続ける方は、自身の健康は言うまでもなく、性格の安定さも徐々に崩れて行きます。色々な武術を練習して、それでもなんとなくいらいらする気持ちになってしまうのが、古代の養生家の見解からするとこれが原因です。
太極を正しく続ければ、「延年益寿」になると信じられて参りました。わかりやすく言えば、長生きと心身の質が高い人生です。共に頑張って参りましょう。


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