第1196話 粘黏連随
- 2018/11/29
- 11:55

これは十三勢の最も基礎的な内面の動きです。当然、その前に「掤勁」という暗勁が体に備わりことによって、「捨己従人」の体に到達し、「捨己従人」できれば、基本的に「粘黏連随」も徐々に身につきます。初心者が沢山の盘手練習をしなければならないのが「捨己従人」のためです。
当然、最初から力で人を捩じ伏せようとする人は永遠に「捨己従人」から「粘黏連随」へのプロセスを悟ることが有り得ません。これは先日、中国永年楊氏が発表した「楊氏老譜」の解釈文もはっきりと記されております。また、孫式太極拳初代の禄堂公の著作の「形意述真」にはなんと、太極だけではなく、道教継承の他の八卦や形意も「捨己従人」のようで一つの発勁は自身の意図を相手に伝えないために練習を徹底的に繰り返しすべきだと述べられています。
本日は十三勢の根本をもう少し探求して参ります。
粘、楊氏では持ち上げと解釈しています。当然、具体的にどのように人を吸い上げていく自身の体の状態は語られていません。一般的に申すと、僅かの短い間の一瞬の隙や動きの欠点を見せるのがこと勁の一つ目のポイントです。二つ目のポイントは相手がこちらの一瞬の問題に反応した瞬間に普段の「捨己従人」の基本を生かしての「不頂丢」です。この二つのポイントの熟練度によって、人を簡単に吸い上げられるか否かを決めます。
黏、楊氏ではべったりと一体になり離れないと解釈しています。一つ目のポイントは相手の出てくる動きに「頂」の気配があれば、少し異なる角度には必ず「丢」の気配があり、逆に、「丢」の異なる角度には必ず「頂」が存在しています。いずれの「頂」と「丢」に相手以上の「不頂丢」が可能ならば、「黏」が生かされ、相手は自身の力で出て行きます。
黏の熟練度が高ければ粘が負け、粘の熟練度が高ければ黏の欠点が目立ちます。
連、楊氏は自身の存在を捨て相手に離れないと解釈しています。ご存知、太極勁のすべてにおいて、「不頂丢」が最も重要ですが、連勁はどちらかというと推手同士の互いの円形の動き上の欠点が自然と目立ちます。連はお互い様の勁です。盘手は互いに円形の動きが基本です。当然、腰がまったく動かずにして、骨盤が動くと凸凹の円形では、連勁なんかは考えられませんね。
随、楊氏の解釈では「走」の相互感覚になりますが、そもそも、太極で申し上げている「走」は内面的な動きです。体の緩みがまったく統合されていない状態ではこの話は通じないと思います。
以上の四種類の太極の基本勁路ですが、いずれはっきりとした見える身体能力から来る動きではありません。それぞれの勁路がおりまざり、かなり細かい内面的な訓練が必要になります。
あきらめずに練習を続けましょう。


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