第1256話 四掌四指
- 2019/01/28
- 23:51

近代太極拳の約70年の歴史の中で、実に幾度に渡っての「簡化」(簡単化)によって太極拳は実に本来の形からかなり離れているのがあまり知られていないようです。現在、私が教えている制定武術倶楽部では子供の皆にも呉式太極拳の30式と七星剣を教え始めています。子供は素直ですので何でもはっきりと教えてくれます。
この太極拳(鑑泉30式、宋氏七星剣)はちょうきつい、ちょうやばい、でも、制定太極拳はちょう簡単になりましたと…まあ、本当のことです。
原文
掌有樓膝、有换転、有単鞭、有通背、四掌之外有串掌。手有雲手、有提手、有合手、有十字手、四手之外有反手。指有屈指、有伸指、有捏指、有閉指、四指之外、有量指、又名尺寸指、又名觅穴指。
解釈
太極の掌と言えば、基本的な四種類があります。
樓膝、その名の通り、手は膝の直ぐ側に来なければ、何故、樓膝と言えるのでしょう。
换転、両手による状態の受け取りです。両手がただバラバラに動いているならばまったく話になりませんね。太極の穿梭は换転の一種です。受け入れになっているかどうか、皆様でご判断ください。
単鞭、その名の通りの単は、一つの肩関節しか動かないことです。勿論、動き難い肩を開くのが当然です。
通背、一般的に骨盤の方向と腰の方向が異なる事になります。皆様に伺います。腰はどこ。骨盤はどこ。腰椎は動けていますか。それとも肩や骨盤で回転していますか。
串掌、てのひらが合わせている状態での動きです。近代の太極拳にはほとんど消えています。
雲手、両手が一定距離を保ったままでの追っかけて行く動きです。後ろの手は前の手を越えないことが大切、肩関節の横の開きは左右のいずれになります。
提手、骨盤から尾骨、腰椎、胸椎、肩甲骨と鎖骨のいずれが自由になる動きです。
合手、手揮琵琶式や欄雀尾、高探馬がいずれも合手です。収肩、収腰、収胯が同時に行うべきです。
十字手、基本的に一種類しかないですが、これはいかにも太極的な攻防の現れになります。
手の分野ではそれぞれ左右の方向での使い方ができます。
指の形もいろいろあります。
屈指、5本の指が自然に伸びている状況で円周になっていて、掌と接続する関節も若干曲がり、掌は僅かに円形になっています。
伸指、指も掌も自然に伸びています。
捏指、指5本が伸ばしている状態で集まる状態です。(単鞭、退歩跨虎など)
閉指、伸指状態で親指以外の指がなるべく閉じています。
他に、量指という指法もあります。別名、寸指、觅穴指とも言いますが、これは主に快架や太極散手の中での使い方になります。
このように、太極拳は最初から最後まで決まった掌の形でもなければ、指も掌も変わらない状態ではありません。太極の豊かな専門分野を固定観念で適当に決めないでいただきたいと存じます。

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