第126話 世界先進国
- 2015/12/26
- 00:05

たしかに去年の年末当たりもこのようなテーマを書かせて頂いた記憶があります。一つの国が豊かになるとその国民も当然のように、それを誇りに思います。1985年頃の日本は確かに日経平均株が3万円の大台を超えたこともありましたね。その頃の日本は豊かで自国の利益を守る為に意識的に排他的になることは、私は十二分に理解していました。私は丁度、1985年頃に海外移住を考えてはじめていました。まあ、人間は誰もが豊かな生活を憧れるわけです。当時の中国人は自由に御飯を腹一杯に食べる自由でさえありませんでしたね。私達の当時の人生の目標はカラーテレビ、CDラジカセ、電子時計、サングラス…まあ、レベル低い物ばっかりでしたね。
しかし、私は1984年当たりから海外脱出を図っていましたが、何とか東京の池袋に辿り着いたのが5年後の1989年でした。海外移住は元々、私の祖母の憧れでしたが、私はというと、どちらかというと太極拳の師匠達の元でもっともっと修行を積みたかったです。今日になっても自分の弟子の皆に色々と師匠のことを話す際に、自分と師匠が一緒に練習できたのがたったの6年であることを悔やんでいますね。太極拳は一つの感覚の元でその感覚がもたらす勁を体に染み込む練習の継続です。私は今日の自分の勁路がまだ師匠にかなり遠いことで弟子や学生の皆様に一つのよりよい感覚を提供できていないことは、まことに遺憾の限りです。
ところで、CDラジカセとテレビが憧れの頃の私達は低いレベルの娯楽しかない社会で、若い層でも太極拳を練習する者が多くいました。まあ、武術全体が大人気で長拳や少林拳は太極拳よりももっと人気がありましたね。これは太極拳の習得は簡単ではないことが理由になります。太極拳は今日の世界の中で二十四式を三か月で完全マスターできる概念ではありませんでした。例え制定太極拳であっても当時の中国人の感覚では難しい武術でしたね。これはさておき、国の事情が人々の娯楽を左右し我々世代では、拝師の費用も格安で弟子入りしなくても一定レベルの武術をもっと安い授業料で習得することができました。しかし、今日の中国で武術人口が大分経ており、太極門に入門しても豊かな社会なら人々は過酷な勤務を熟さなければならない為、太極拳の練習時間も減ってしまいます。分かりやすくすれば、当時の我々が太極拳に示している情熱は今日の若い中国人にはほぼ、無縁のようです。
勿論、今日の中国の発展は当時の私達には想像もできなかったですね。今年の流行語に中国人と関係している「爆買い」がこれを証明しているようです。さらに日本国の総理がこの「爆買い」に日本国の景気回復を期待している発言も何度か発表されているようです。
そして、これはあくまでも私の推測ですが、一つの国の景気が落ち込むとあまりお金を必要としない娯楽の人気が上がるのではないでしょうか?数年前からはレンタルのDVDを家で鑑賞する楽しみが流行っていましたね。しかし、今日の日本人も携帯電話やパソコンなどを手に入れる余裕があって、ネット上で色々な動画が簡単に鑑賞できる時代になり、家の中でも簡単に色々な娯楽ができるようになりました。まあ、考えてみるとパソコンで好きな動画を見ることは30年前の私達がカラーテレビやCDラジカセを憧れていた時代よりもはるかに豊かです。人間って永遠に満足という言葉を知ることはできないようですね。
しかし、本当に武術が好きな方は景気とは関係なく、可能な限りに練習を続ける方もいます。呉式太極拳研究会は最近になってこのような本当に武術が好きな方で埋め尽くされていると言っても過言ではありません。世界先進国であろうかなかろうか、武術好きな方は毎日のように修行を続けるのでしょう。
私もそうです。皆様、共に頑張りましょう。
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