第1310話 金庸ドラマの剣
- 2019/03/22
- 11:06

多くの方がご存知のように、近頃は中国でまた「倚天屠龍記」が新たにドラマ化されました。この小説の中には私達太極門のほとんどの流派が祖先だと祀っている張三豊祖師も出ていれば、個人の母親の祖先の明太祖朱元璋も登場人物になっていることがあって、私は時間が許す限り拝見しています。当然、お陰様で近頃では何かと忙しく、自由時間はなるべく自身の太極拳練習や屋外へ出掛けることが多く、金庸ドラマも数分位が限界でしょうね。
まあ、今回は時代が時代で今日の中国という国は何をやっても豪華という感じですね。新「倚天屠龍記」はかなり豪華な俳優陣で、美男美女と著名俳優の大競演とも言っても過言では無いですね。しかも、動画の画質はかなり良く、本当に驚いていますね。CGによる凄い功夫の数々は今日になっても信じる方がきっといるから、金庸小説がドラマ化される度に続けているのでしょうが、今回は更に迫力がありますね。金庸ドラマの好きな方はお勧めいたします。
ところで、太極祖師が自身独創の太極剣を弟子に教えるシーンを拝見したところ、その剣の内容は何と32式、42式と、そして、日本ではあまり親しまれていない新しい制定套路の「武当太極剣」から適当に選んだものです。もちろん、多くの方はきっと、あれはドラマですから基準にならないと仰るでしょうね。私もこう信じたいです。当然、これは多くの中国人や日本国で本当の意味で漢文化を研究されている方ならばきっとお分かりかと思います。しかし、多くの日本人や諸外国の方はどれが本当の漢文化であるかが中々識別できないことも私だけが申し上げているわけではありません。当然、その理由を話しても切りが無いですし、大概、政治や政党が絡んでいれば解決策も中々見出せないのも事実ですので、深追いしないようにしたいと考えます。
しかし、太極門嫡伝の一員として、張三豊を祖師として祀っている一人の太極修練者として、本当のことを申すのも自由です。
当方も太極剣の練習しております。これは、宋遠橋という三豊祖師の直弟子の末裔である17世の直伝であります。もちろん、太極剣だけではありません。昨日の午後も少ない会員で乾坤剣と粘杆と太極十三槍などを練習しました。
我々が練習している剣は今日になって大概この位の内容です。乾坤108式(異なる数え方では89式になり、その内容は同じ)、七星54式、連環74式、玄武子母288式、双剣42式はかなり套路ですね。私の研究会の会員さんは、3年ほどかけてもまた乾坤剣の細かい動作が中々把握出来ていないと感じております。もちろん、スーパーコンピュータのような脳を持たれている会員さんも二人ほどいますので、このような逸材には私がなるべく多くの套路を教えるようにしております。太極は套路もそうですが、内勁の修練もあって、三ヶ月とか半年で習得できるものでは無いですし、外家拳のように解釈するものでもありません。
宋遠橋末裔の者は当家創始者の鑑泉にこのように告げています。我々に伝わっている太極剣はまだ三豊祖師の太極剣の一部です。祖師の剣をすべて継承できた弟子は一人もいなかったそうです。祖師の剣は1300式余りもあったと伺っております。
道教のことがわからないドラマ監督は仕方がないですね。本当に太極を知りたい方々は、本来の太極剣の継承はどのようなものであるかを少しでも知っていただければ幸いです。


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