第1319話 かなり退化して来た武術
- 2019/03/31
- 00:30

私は太極門の人間ですので基本的に太極門の内部事情位しか知りませんが、少し昔では他の流派のお偉い先生が「一代が一代の実力」発言で世間を揺るがしたこともあって、当家でも四代の集いで三代の人々はかなりの実力があって、四代では一人も三代のトップ実力までいっていないと、ほぼ全員が認めています。
それもそのはずです。今日の中国だったら本当にどれほどの凄い娯楽があって、かつての我々みたいに起きていればやることがほとんどない時代はもう当分は来ないと思います。鑑泉社同門の人々に練習状況を伺ったところ、通常では月に2回から4回の太極拳基本拳しか練習していないようです。これでは、太極拳の上達や太極勁の上達はほとんど有り得ないですね。そして、太極拳の練習もせずにして、何故か今日では多くの同門がかなり推手練習に興味を示しているようです。まあ、太極勁の習得はおろかとのこともあって、基本的にその推手も巷の押し相撲推手とほとんど変わらないです。これを思う度に私はじつに深い悲しみに包まれるようになります。
一方、中国国内の制定武術はどうかというと、それもまたかなり実力が下がった気がします。制定武術は私が中国にいない間に色々な改革がまた行われたようです。太極のちょっとした動きの中に長拳の跳躍などの難度動作が加わり、槍術などの套路も私達の世代が知らないものも出ていますが、私が確認したところ、武術大国中国の昨今の制定種目は本当に武術意外の要素がかなり増えました。ええ、これで長拳ですか、これで太極拳ですかと、私はいつも自分の目を疑うほどに驚いています。そして、多くの選手が伝統武術離れ状態もかなりひどいので、制定武術は益々混乱していくと切に感じています。
あの槍術の槍はなんなのでしょうかと、今日でも10キロ位の槍を使っている私ですが、中国のいわゆるトップ選手が使っている槍は丸で爪楊枝のようなものに過ぎませんね。
まあ、中国以外の制定武術発展途上国のアマチュア連盟などの諸武術大会のレベルは言及しなくてもよいでしょう。
お陰様で私が教えている制定倶楽部の若い選手の皆はかなり頑張っています。昨日は世界チャンピョンになりたいと私に直訴スル者もいました。私の答えは至って簡単でした。世界のトップになりたい気持ちはよくわかりました。私は若い選手の皆様に、今日の制定武術の世界レベルではなく、かつての1980年代初頭の世界レベルに到達するように呼び掛けました。
当然、その為にはこれからももっと沢山の苦労を乗り越えなければなりません。皆が頑張っていれば、私も出来る限りのことをさせていただきます。
共に頑張りましょう。


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