第1403話 どのようにして自然になるか
- 2019/06/23
- 07:50

わたくしと一緒に6年くらいに練習してきた日本人の方はいつも、どうやって力を使わずにして体を動かすかで私に質問してこられます。答えもいつも決まって、人間は慣れていない動きには中々上手くできないだと説明しています。逆に、どこかの太極拳は日常生活にある動きばっかりでしたら、太極の本来の意味合いである陰陽顛倒にはまったく到達しないことになります。昨今のネットでは多くの人が「太極陰陽顛倒説」を難しく考えていますが、実際の陰陽顛倒は簡単に説明すると人間が慣れていない動きをいかにして自由に動けるかとのことになります。どうやって、随意筋をほとんど使っていない状態で体を動かすのか、どうやって腹筋や大腰筋をほとんど使っていない状態で足を上げるのかで我々は自然で脳の指令からではない動作ができるようになります。

当然、人間は一般的には腹筋と大腰筋をほとんど使わない状態では基本的に足を高く上げることは困難です。今日のネットに上がっている動画でかつての太極拳先生のものもいくつか上がっています。それらを拝見すると誰もが足が一定の高さまでしか上がっていないです。もちろん、年配者ならばどう頑張っても足が高く上がるのは不可能ですが、実際、若い方も子供も腹筋と大腰筋を使わない状態で足を上がらせると、見事に年配者とほとんど変わらない高さしか上がらないことは私や他の太極拳先生の実験でわかっております。太極という名詞と関連している分野は色々あって、我々のように何とか日常の動作と異なる状態で動く訓練を続けることもあれば、個人的には制定太極拳の指導も試みています。元々、制定太極拳は伝来の太極拳とは親戚関係のような存在ですが、世界の色々な国では現在、適当に制定太極拳を解釈する個人や団体が多く、伝統太極拳がどのような存在であるかははっきりと見えなくなってきました。
どのようにして自然になるのかは基本的に体を動かしていくしかありません。たとえその動きがまだ自然になったとは言えなくても、たとえどんなに頑張っても太極の動作がまだ色々と動きの問題があったにしても、いつになっても不完全な動きしかできない我々の限界への悟りはいつの時代になっても人類の太極修練の最も重要な助けになります。人は誰でも自身の限界を知らずにして限界へ挑戦し続ければ、無理な動作で自分自身の自由を壊してしまうけっかになります。まして、人間の機能的な限界ははっきり言って挑戦すればするほどに高まっていくはずです。いつの時代になっても五輪種目の色々な記録は常に挑戦され、毎回の五輪では必ずと言っても過言ではない位に色々な種目の記録画塗り替えられました。もちろん、これによって近代競技種目における怪我も古代の競技種目よりもかなり多くなってきましたね。一部の選手はまるで名誉のように怪我をしていることも今日ではあまり珍しくないようですね。
無理な動作で体を怪我し、たとえ莫大な財産を手に入れても怪我の後遺症を自身の一生涯で背負うならば果たしてこれで得したと言えるのでしょうか。スポーツの分野で怪我で苦しむ人に関する報道はもう沢山です。人によっては色々な怪我で体がぼろぼろになり、命さえ縮んでしまう結果になってしまいます。日本国は現在、老人ホームがかなりお.不足しており、これから年を取っていく方々は必ず老人ホームに入所できるとは限りません。怪我を抱えて年をとり、自宅でのケアをしなければならないならば、いかなる怪我による不便も大変ですね。
これからでも遅くないので、何とか徐々に体が自然に動けることを身に付き、いかなる生活の場面でも自然状態に近い動き方で生きていれば、我々の人生がきっと、もっと豊かになります。これこそ、タオイズムの根本的な理想であります。どうぞ、楽しい人生のために正しい太極を続けましょう。


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