第1405話 人の命は
- 2019/06/25
- 09:12

二度ほどに面識がある人間が亡くなりました。私は何故か最近、結婚式よりもお葬式が大分増えまして、数年前に40代の親友が亡くなったことで私はかなりショックでした。先生いつもお世話になっております。先日は、中国の画家で太極拳も練習している梅墨生さんが亡くなったと伺っております。彼は中国国内では養生大師と太極大師になっていましたが、今回の死因は直腸がんだと報じられています。彼が練習している呉式太極拳は、私は拝見したことがありませんが、画家であり修身養生においてはこの写真くらいを楽しんでいる私よりは優れていて、私より3歳年上の彼が去っていかれたことは、私はどうしても色々と考えてしまいます。自分自身はあとどのくらいの時間が残されているのでしょうかと、当然、人は誰でもこの世にいられる時間が限られています。

梅墨生さんは呉鑑泉に拝師した李経悟の弟子だと言っており、拝師の経緯がしっかりしていれば、彼は私の同門で同じく呉式太極拳の弟子になります。よって、彼の太極拳のレベルや本家の中での是々非々は当家の家訓では一切触れてはならないことになっております。特に嫡伝の私は太極門の中では自分の流派においても他の流派においても、間違った考え方を指摘する資格は当然あっても、名指して太極門の一員を云々口にすることは出来ません。
ネットで梅さんの動画を何度も拝見したことがあり、彼の太極理論などはさておき、どのような番組に対してもとにかく一生懸命に取り組み、彼の武術に対する独特な語り方はきっと、多くの愛好家の心に残されたと思います。
梅さんが去って一週間ですが、既にネットで彼への批判がはじまっています。彼は、養生大師だったので、59歳と言う生涯はどうも一部の人間からすると短過ぎたようです。まあ、確かに今日の世界では人生百年などではまったく夢ではなく、60歳も到達していないことは確かに残念で無念です。世の中では、一部の武術流派の平均寿命が50数歳もあまり珍しくないですが、人が去ったわけですから、日本人ならば神様扱いして、決して亡くなった方のことを批判したりすることはしないでしょう。何故か中国のネットで死んだ人に懸命に鞭を打つ人が現れるのかは国全体の人間力が問われても仕方がないです。
中国は今年で改革開放40周年を迎えたのですが、戦後から国の建設や高度成長を経て、長い間に世界先進国であり続けた日本国ならば、一般の民では誰もこのようなレベルの低い行動をしないでしょう。
元々、日本国も中国も、亡くなった人間に対する敬意はほぼ同等レベルのものであり、このように非常識な死者に対する批判は私はどうしても納得がいかないです。
百歩引いて、批判した人間は必ず長寿になれるのでしょうかと、私は彼らに伺いたいですね。人類は自分自身の命の長さなど知るわけがありません。梅さんの59歳を嘲笑うものは、ご自分が59歳までいけるかどうかも、ご本人を含む誰も知らないです。
太極を懸命に修練している人であれば、世間一般に対してははどちらかというと無関心に近いかもしれません。自分自身のことでいっぱいです。歴史上では多くの太極修練者が自身の練習を敢行しながらも懸命に弟子や学生を教えるようにしています。先代の二人はこのように生涯を貫きましたね。私は諸事情でまだ太極を教えて6年目ですが、自身がまったく病気にかからずにして健康を維持する自身はありません。そもそも、世の中の誰がずっと健康状態であることの保証があるのでしょうか。
私がいつも申し上げているのですが、人間は武術を練習して、人様に勝つことならばそんなに困難なこととは言えないですが、人間は自身の健康と命の維持ほどの難しいことはありえません。
皆様、少し真剣に健康に取り組みましょう。


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