第1428話 太極と膝
- 2019/07/18
- 11:28

妻の従兄が鍼灸師です。彼は武術のことがまったくわかりません。彼の診療所は多くの長拳選手が訪れるそうです。清一色、膝の問題だそうです。従兄は武術のことを知らないこともあって、色々な選手が出された名刺では武術太極などの紹介があって、長拳は武術の一種だと思ってしまったそうです。私は従兄に太極拳も怪我が多いと申し上げました。今日になるともはや中国も日本も、制定、伝統問わず色々と怪我が絶えないようですね。膝の問題は一番目立ちます。当然、スポーツやそれに相当するものであれば、膝の怪我は避けられないものです。

研究会は6年目に入りました。なんとか元々怪我をされた人々をケアして、研究会で呉式を練習し続ける方々は膝の怪我の現状維持や回復を努めています。昨日では会員が私の言っていることが整骨院が言っていることと同じだと言われています。もちろん、整骨院と太極が考えていることは一緒のはずですね。どのように膝を長持ちさせることは多くの人の願望ですが、普通に膝を使うと一定の年齢になれば
当たり前のように壊れていきます。
人間は普通に歩くと必ず骨盤を捻ります。若い女性が美しく骨盤を捻って歩くことで多くの人の視線が釘づけるほどのものです。しかし、人間は骨盤を捻ると必ず膝も捻るようになります。膝は基本的に単方向関節であるので、長期間の捻りは必ず半月板と軟骨の損傷になります。年寄りの車椅子の多くの例は半月板と軟骨の損傷です。
半月板や軟骨の損傷や断裂から守るには、色々な方法があるはずですが、体を使うスポーツ選手は「体幹作り」で体の色々な部分が自身の体重をある程度分散できることにしています。もちろん、体幹作りは筋肉レベルの体重分散であり、その程度も限られています。もちろん、人間は年と共に筋力も低下し、何才まで体幹の維持ができるのはなんとも言えませんね。
太極が考えている体重の分散は骨である実と骨と骨の関連性である虚から来る体重の緩和とぶんさんであります。これは、体幹作りの結果よりも優れているはずです。がしかし、太極の虚実分明は簡単ではありませんね。どんなに頑張っても数十年がかかってしまいます。
太極はできる限り腰椎を回転して骨盤を回転しないように伝えてきましたが、近代人はもはや骨盤と腰の区別がわからなくなりました。腰を止めて骨盤を回すと半月板と軟骨が磨り減るのは避けられませんし、太極の虚実文明にも永遠に到達できません。百害あって一利なし、ですね。
正しい太極を練習しましょう。


スポンサーサイト