第1463話 虚領とは
- 2019/08/22
- 11:20

今更このような単純な言葉だと言われても仕方がないかもしれませんが、太極の専門用語では日常の解釈とはまったく異なる場合が多く、たとえ中国語をしっかりと勉強したとしても太極門の中の独特な解釈は一般的に理解されていないことが多々ありますね。私が大嫌いなのは一部の中国語がまったく勉強もしていない外国人の人が偉そうに適当に太極拳を解釈する人です。これは傲慢と無知の他に何でもありません。
太極専門用語の虚領頂勁の虚は無力、または力を使わないとの意味です。領は一番最初の意味では洋服の襟になります。後に人間の首または頸椎とも言うようになりました。
つまり、結果から申しますと太極の「虚領頂勁」は力を使わずにして、頭上にある百会が脊椎の中心に持ってくるかとのことと、いかに力をと買わないようにして首が自然に伸びていることとの二点の両立です。
まあ、本日は最初から喋り過ぎていますね。

まあ、このようなお喋りは太極以外の武術やただ太極だと名乗っているすべての武術にはまったく参考価値がないものであって、無理して参考されても決して理解できるものではないと思います。昨日も教室で一番古いメンバーと一番新しいメンバーの方が一緒にに勉強されたのですが、力を使わずにして真上に伸ばしていくことの難しさは太極を始まったばっかりの人にしても、6年間かけて毎日のように朝と夕方の2回の慢架が欠かさない人にしてもほぼ同様に難しいです。当然、この点に関してはこの45年も練習を続けている私も同様に難しいです。
人間の頭は大体何キロだろうかと私は複数の医者に伺ったことがあり、その答えはかなりバラバラです。簡単に考えると人間の頭には大きな脳があって、かなり頑丈な骨で守られていることを考えると数キロと適当に考えております。献体解剖の際に頭部を切断して図ることが可能かどうかはわかりませんが、頭の重さはきっと個人差もあって、一途にして決めることは不可能でしょう。ただ、頸椎が人間の頭の重さを受けるだけで色々な問題が起きているのは事実であり、これは多くの医者の方との交流の中で知りました。
話題は急に変わりますが、今日の世界各国の色々な偉そうに展開している太極拳の動画を拝見していると、実に多くの人の首の状態は「虚領頂勁」ではなく、実領頂勁ですね。(私の造語)つまり、力で首がまっすくに上方に伸びていることを作っていることになりますね。人間の首ですが、少しでも力を使って伸びていれば、頸椎が必ず胸椎に無理して連動し、胸骨も力んでは前方へ突出してしまいます。
世界の色々な国において、制定太極拳の採点の際に女性の方が首を力んで青筋がはっきりと確認できていて、胸骨も以上に前方へ出ているにも関わらず、首筋が出ていると美人だからとのことで高い点数を出している人がいます。しかも、顔だけで点数が高い場合もありますね。個人的にはこれは一種のセクハラしかありませんね。
人間の構造からすると、かなり高い位置にある首と胸が力んでいれば重心がかなり上がってしまうのも仕方がないですね。当然、高い位置での力みが重心を高くしてしまうことで、その逆説として両足など人間の低いところ力みも太極状態ではありません。太極の基本は全身のどこも力みがないという理想状態です。この理想はまた、永遠に完成できないものであります。
健康と武術を兼ねる太極の根本は王宗岳太極拳論を参照すればよいですが、それをしっかりと理解するにはまず、中国語がしっかりと勉強してからだと思います。私は中国語を国語としていて、義務教育が文化革命に重なってしまったことで今日も独学で母国語を研究していても中国語古文の難しさをしみじみと感じております。そして、太極専門用語の独特な解釈はかつてでは門外不出で決して世間に赤裸々に披露することがありませんでしたね。
適当に中国古代文学と太極思想の翻訳をすれば、人様の体を壊すこともあって、ご注意くださいませ。
太極拳論も参照せずに適当に太極を語っている連中はもう論外です。


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