第1589話 すべてにおいて

太極はよく小宇宙に例えられていますが、人間の体がどれほどに複雑で今日の医者、もちろん、中医と西洋医を関係なくして人体の問題が完全に把握していないのが事実です。私はよく、医者よりこれは原因不明との解釈を伺っております。当然、患者はどこどこが痛いと訴えていますが、画像では何も見つかっていないことが多いですね。医学はまだまだ、発展の余地があり、医者も常に研究していないと本当に時代遅れになりますね。私は何度も日本国の整形外科を批判しております。骨折していなければ、アキレスが靭帯が切れていなければ、湿布一種類しかないと、後はリハビリです。しかも、鍼灸や他の施術を馬鹿にする人が多いです。最近になってようやく、一部の整形外科の医者が中国の鍼灸を取り入れ始めているようですね。まあ、不況は人を変えることでしょうね。それでも自己満足で経営するのならば、いつかは本当に潰れてしまいますね。

話しが変わりますが、太極はすべてにおいて人間を完成に近づかせる為にあって、もちろん、そのすべてを完成させるという理想はまた、いつになっても完成できないものです。太極は人間の体を大自然の調和のように考えていますが、大自然は破壊されることは実は太古の昔、天地創造された頃の昔、近代科学的な考えでは爆発によって塵と空気が宇宙に変わった瞬間から、天地万物は一定の秩序の元で動いていないことは、流石に今日の科学の研究で分かってきました。大宇宙さえ調和できていないので、小宇宙の我々の人体は言うまでもないでしょう。人間の体を少しでも適当に預かれば直ぐに壊れます。膝を適当に使えば直ぐに手術にかかります。意念をかければ体のバランスがすぐに壊れます。適当に太極拳の練習すれば、体の色々なところに痛みが出ます。

そして、武術の話しになるともっと複雑でしょう。太極は僅かな力でいかなる抵抗でもできる対応が要求されており、武術でいかなる抵抗に対しても吸収できる体作りはいかなる国民と人種においても大変困難であることは変わりません。武術はもともと、強さと弱さがありませんが、一種の武術を適当に解釈して、怠けての練習をすれば当然のように強くならないですし、または、最初から詐欺者のところで間違った教えをさせられている方は本当に可哀想です。私は何度も何もわかっていない人間の武術教室の閉鎖を呼び掛けております。これは現在、中国国内ほどに詐欺者が多い国はないでしょう。海外諸国に流れてきているのは僅か一部ですね。これは敬愛するフル・コム代表の山田先生も同様に感じているようです。

太極は、私達の健康面においても武術面においても、そして、我々の心の霊性においてもプラスになる技です。よって、私は太極は無術ではなく養生術でもなく、芸術とも異なり、スポーツでもない独特な分野であり、どうしても分野で分けなさいといわれれば、私は太極は太極、太極は太極拳ではないと答えるしかありません。太極は無限であると悟らせてくれたのは先日に他界した音楽家の酒井多賀志先生でした。馬岳梁先生が他界したのがあまり早すぎたのですね。太極が一人の音楽家の啓示によって悟ることは、太極の無限な本質にあると感じました。太極を悟るには人間の無限であることを理解できていないと、我々はいつになっても足踏みをします。