第1627話 太極は構えない
- 2020/01/31
- 08:13

一般的に表演する分野では一つの構えがかなり大切だと知られています。体操種目では一つのポーズや構えは数秒、またははっきりとした見え方ではないと少なくとも点数が得られない、または原点になります。一部の制定武術も基本的に足を上げた時点でどのくらいの時間単位で見せるのかでさだめられていますが、もちろん、一つの構えとして、どのくらいまではっきりした動作で人々に見せられるのかはかなり大切になります。はっきり言って、これらは日本の歌舞伎の見えを切ることとほとんど変わらないですね。私はいわゆる歌舞伎の見えを切ることはどこかはっきり理解していないことで、親戚の歌舞伎俳優の屋号をかけることも禁じられています。まあ、これはわたくしの無能ですが、もちろん、制定武術ならば、どこで見せるべきかははっきりとわかりますね。これは本当に皮肉であり、私は実は制定武術に関してはかなり不勉強してきました。最近では少しは研究しておりますが、これはあくまでも北海道中国武術倶楽部の一員になったことと、自身の研究会にも数人の制定太極拳の先生が勉強に来られていることが発端だと言っても過言ではありません。逆に、私は基本的に日本国でいわゆる伝統太極拳を教えている方には当研究会の入会をご遠慮願っております。来ないと思いますし、来ても良い結果になりません。今まで学んできたいわゆるなんじゃら伝統太極拳を捨て切る気持ちで来ないと嫡伝の呉式太極拳は中々体で理解できないと思います。本来、太極の最も難しいのは基本太極拳の練習中にいかなる場合でも全身がいかなる構えをしてはなりません。そして、本当に面白い話しですが、本来の太極拳で最も構えていけないところが、制定太極拳の最も構えて見せて欲しいというところになります。よって、制定の加点どころはごく自然にわかっています。
だが、私はあえて、制定の選手に伝統太極拳の構えない練習をさせようとしています。その理由は二つです。
一、制定のいわゆる構えるべきところが自身の体で自然に理解できるようになれば、選手の脳は動作の正確さや套路の進行などにもっと集中できるからです。
一、太極本来の構えない体の動かし方は実は、よりよく構えての見せ方にかなりプラス的であります。これは何人かの当家の先輩やこのわたくしの実験結果であります。
では、今年からは倶楽部の選手に徹底的に構えない流れる動きをさせて参ります。もちろん、抵抗もありますね。もちろん、実績がでればどのような抵抗も自然と消えていくのでしょう。結果を出す分野ではすべて試行錯誤の連続であり、結果的によい成績であれば、どのような練習をしてもかまわないと思います。選手に太極の内勁練習をさせていれば、結果的に足が高くなり、安定性も高まることは私の実験結果ではありません。数十年前に既に中国国内で色々と実験が行われてきました。中国国内でも意外と制定選手が武術の家元の先生や嫡伝者に弟子入りをしているケースがかなり多いですが、中国以外の国々では、本来の中国武術への理解度が低く、なんだかの人脈で武術や太極拳がまったくわかっていない人物を巨匠扱いにして、このような人物の教えでは内勁どころか、非科学的な人体操作で怪我や事故に及ぶことが沢山確認しております。一部のいわゆるトップ選手の膝ははっきり言って、20代にもかかわらず80代の老人の膝よりも状態が悪いですね。アスリートは体を壊すことが多いことは世界中に知られています。人生を楽しむためには色々な考え方がありますが、道の養生も一つの選択肢になります。
私が数年前に教えるようになった北海道中国武術倶楽部が掲げている看板は、「生涯現役」であります。私は倶楽部の要請を承諾したのは経営者が本気で健康のことを考えているからです。健康は人類の掛け替えのない宝物です。人類は百何十歳でまったく病気がなく、自然に自身の人生を終えることができるのならば最高ですね。その為にも、正しい太極を練習しなければなりません。太極の動きは随意筋はほとんど働いていなくて、骨格だけがほぼ構えることなく動くのが理想です。その為にどれほどの先人が生涯をかけて練習しそれなりの結果を得ていました。世の中のすべての太極拳教室は健康を目標としているはずです。では、それなりの結果が経営者の皆様の証になりますので、怪我ばっかりの太極拳教室は勇気を持って、教室を閉鎖するよう心よりお願いいたします。宜しくお願いします。


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