第1677話 以退為進
- 2020/03/21
- 11:17

一般的にテーマの「以退為進」は中々理解できていないです。太極の基本である「進為化、退為発」との基本原理から考えるとけっこう簡単ですね。「進為化、退為発」は言い換えれば、「以進為退、以退為進」ですね。当然、体が前に進んでいるにも関わらず、太極の化勁を使うことは極めて困難です。これこそ、太極陰陽顛倒原理であり、太極の訓練が一定のレベルまで来られた時点ではいかなる太極の動きにしても人間の普通の動きに真逆になります。進んでいるにも関わらず体が後ろに下がっていることは不合理の極りですが、人間は外観的に前方へ進んでいる際に全身の虚実が相手の抵抗を吸収できれば、「以進為退、以退為進」は自然にできるようになります。
中国の太極拳家は「以順避逆」と言う四字熟語を引用しています。
更に、太極拳論では、「人刚我柔謂之走,我順入背謂之粘」、太極勁の使い方の基本的な用法は「走」と、「粘」になります。「粘」は相手を制することです。太極勁十三勢の最初の「勁」が「粘」になっています。逆に、太極拳論が言っている「走」は十三勢で言えば、「不頂丢」になります。世界の多くのなんじゃら太極拳を練習している人は「不頂丢」のことを不即不離の一言で解釈していますが、人が剛で我が柔はどれほどに難しいのかはこの勁路の文字通りです。「我順入背謂之粘」の「粘」は十三勢の代名詞です。相手との接点から離れているところに「不頂丢」で附いていくことは「粘」だけではありません。
太極は円の動きになりますが、これは内面的な動きになります。太極拳の外的な動きは必ず円周ではないといけないものではありません。動作によっては真っ直ぐの動作が内面的な円の動きになる場合もあります。ですので、太極拳の基本練習は適当に動作を変えてはいけませんね。太極は、外的な円ならば、誰でも見破ることができますが、内面的な円は外的な動作が感じないので、手合いの時に相手はまったく感じないままでやられてしまいます。
ここまでは、一般的なネットでも似たような考え方が多いです。昨今、祖先鑑泉氏の色々な談話や教えの日誌が色々と公にされていますが、具体的な練習法は、昨今の色々と呉式太極拳の基本も守っていない諸々太極拳では、いつになっても以退為進の結果に至りません。そして、祖先の考え方を適当に変えているネットもかなり多いので、読まれる時はくれぐれもご注意ください。
封建社会では、手抜きしない太極拳は家の中でしか見せません。私は研究会の中で出来る限り、かつての家の中の太極拳を教えております。これは、家の中の太極拳の短縮版です。 会員様募集しております。
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