第1768話 太極と人間
- 2020/06/24
- 10:09

昔から、太極の巨匠の多くが性格が安定していると伺っていたのですが、こう考えると私は本当にまだ太極の本質的な部分を見つけていないのではないかと思ってやみません。鑑泉氏晩年は誰に対しても丁重にお付き合いすることで有名ですが、考えてみると鑑泉の最期の数年間は丁度、戦争の真っただ中であり、社会の混乱はもちろん、半端ではないことがわかりますね。このような独特なかなり乱れていた時代背景でもしっかりと安定した人との付き合い方を維持できることは、凄まじい人間力ですね。はっきり言って、第二次世界大戦にかかわっていた国々のいずれも今日のコロナと変わらないほどの大混乱に陥っていたはずです。あのような乱れていた時代を微動ともせずに生き抜いていたことは本当に容易ではないです。
私は来日して、何故か訳がわからなく自発的に調理師と、他の職業の中国人や東南アジア人の方々にボランティア活動を続けて来られたのですが、まあ、結果的にこちらの好意がかなり誤解されてきましたね。結果は結果で原因を深く探るとかえて疲れも増しますので、あまり深く考えないようにしていますが、日本国で生息している外国人で言えば、本国で受けた教育がことなり、来日してからは日本社会への理解度と理解の角度がそれぞれ異なっているので、親交することは本当に難しいですね。毎回のように人間関係でドジを踏むのは当たり前のことであり、結果的に互いに不愉快で分かれることがかなり多かったです。それこそ、日本社会の中でITならスマホでゲームしかできない人、日本語はほぼゼロの人(文盲以下)、そして、この方々が集まって色々と独特なデマが流されている中で私がもしも知らぬ間に入り込んでしまうとこのような疲れはまた独特であり、懸命に動いても結局は最終的に恨まれたりすると、今の私の人間力と太極の実力でははっきり言って、消化し切れないのが事実です。
来日した途端に、華僑の方と多くの中国人の方やフィリピン人の方、マレーシアや香港の方々のお手助けを受けて参りました。私自身も調理師の免許がないにも関わらず調理を教えてくれた方もいました。私は出来る限り、自身の現在の力で多くの華僑や外国人を助けようと考えて行動に移していますが、今後は更なる人間力の飛躍がない限り、一定の距離を置くことにしたと、本日の朝早く起きた時点で決めています。これはあくまでも、自分自身の人間力が足りないからです。
古代中国で何とか世間から逃れて、山奥で人のあまり接しない生活の中で生まれた養生術、考えてみる今日の近代社会の中でそれでも多くの方がなんだかの形で研究されていることはどれほどに素晴らしいかと感じるようになりました。私は本日、日本社会の中でもおそらく最も複雑な分野の話しをさせていただきましたが、皆様も昨今では自粛やテレワーク、仕事の圧力やお体の抑圧による色々な異変やストレスと戦いながらお仕事をされていて、それでも私の研究会に残っている会員は凄く尊敬いたします。そして、コロナのピーク時もご自分で一生懸命にして太極を練習してきたことは私への信頼の他になにもありません。近代生活と史上最悪のパンデミックの真っただ中で太極を練習し続けている方は本当に凄いと思いました。
今年は父親も他界しました。私はもう母国になにも未恋がありません。先日は妙に自分の頭の中から日本国への帰化の気持ちが現れたのですが、今すぐ解決できる問題ではありません。
何故、帰化するのかは人によって異なると思いますが、私的には日本人の人間関係を処理する能力が優れていると感じたからです。もちろん、受けた教育の程度で人間関係でつまづく人もいますが、道の思想が一定レベルまで日本社会に染み込んでいることは確かです。一般的に社会でしっかりと働いている方ならば、道の思想は自然とその方々に中で生かされていますね。現実、今回のパンデミックの中でも太極を練習し続けてきた方々が私に日本人としての生きる能力と正しい生き方を教えてくださいました。感謝しかありません。激しく変動する社会の中でそもそも、のほほんな気持ちでいく生き方は甘いと感じております。人間関係に関しては常に気を引き締めていかないとまたどこかでドジを踏む結果になりますね。
例えば、いつか距離をおくかもしれないならば、私はほとんどの日本人が持つ美徳であるよそよそしさの大切さを痛感しています。特に本日、特に今。
私は先代が残された太極をなるべくしてこの世に残しておきたい気持ちはかなり強いですが、入会面接でしっかりしたヒアリングせずに人間力が著しく乏しい人を入会させた記憶があり、その度に会員の方々に随分と迷惑をおかけしたことがあります。
人間は、危機の中で色々と発見があると信じていましたが、今回のコロナパンデミックで自分自身もまさに体験しましたね。先代の二人が伝授してくれた内容を残していくには、多くの真面目に学びたい方の勉強する環境を私は作っていかなければなりません。公民館が休館するならば、他の代わりの場所を探せばよいですが、勉強する雰囲気を壊すものを研究会に入れれば、真面目に勉強している方の妨げになります。
これを今後の課題とさせていただきます。共に頑張って参りましょう。
封建社会では、手抜きしない太極拳は家の中でしか見せません。私は研究会の中で出来る限り、かつての家の中の太極拳を教えております。これは、家の中の太極拳の短縮版です。
会員様募集しております。
伝統太極は本来、練習する際に音楽をかけるべきではありません。その理由は、耳が脳にかなり近く、刺激的な音や声は脳の絶対的な静粛を邪魔するからです。もちろん、太極の凄い達人ならば、脳が音楽の振動を感じても絶対的な静粛を守り、逆に体内の内勁で音楽による空気の振動と同調して動くことは可能です。
私はこれを目標にして修行致します。
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