第1772話 アルバイト
- 2020/06/28
- 00:27

私は来日して二日目からアルバイトしていましたね。日本語がゼロですので、調理場の皿洗いのような仕事しかありません。もちろん、当時の中国人や東南アジア人は自分の生活費も将来的に大学の授業料もすべてアルバイト代でなんとか工面するしかない為、就学生や留学生はとにかく、毎日のように沢山のアルバイトをこなすしかありません。当時の就学生あたりはきほんてきにアルバイトしかないですが、稀に頭のいい奴は高級クラブの仕事を応募しては正社員として雇われることもありました。朝5時起きして、築地市場で6時間働いて、午後は日本語学校で4時間のレッスン、夜は11時まで皿洗いのアルバイトという生活は1年半も続いたのですが、夜中では、日本語単語を覚えるのに一時間と、夜中の慢架一時間で睡眠は大体2時間でしたね。まあ、若いから何も感じませんが、今日の私ならばとっくに倒れていますね。当時の考えでは、日本はすべて「はい」と答えていれば、何とかなるわけです。後に徐々に知ったことですが、アルバイトの世界では、「はいはい」で大概問題解決になりますが、一流企業に入ったら自由時間はほとんどありません。考えてみると当時の築地市場の正社員でも月二日の休日が得られるならそれではもうかなり嬉しかったですね。私のバイト先の正社員や工場長さんはもう家にいると落ち着かなくて、会社で体を動いていると社会人の実感がするとの考え方はあまり珍しくなかったです。さすがに一流企業に入社すれば、日曜日は基本的に休みですが、役職がつくと日曜日もボーナス商戦の際では量販店の販売応援をしなければなりません。私は何故、このような生活を望んだのかというと、いつかは日本で幸せな老後生活、余裕のある年金生活をしたかったからです。毎日のようにゆったりと太極でも練習して、豊かな生活と自由な人生を望んでいました。
日本はいつか景気が不振の連続になることも、大自然の大惨事も世界的なパンデミックも何も考えていなくて、一流企業での数年間は本当に嬉しかったのですね。今から考えると、マニュアルをなんとかいち早く暗記して、後はマニュアル通りの仕事をしていれば、まあ、仕事自体は簡単ですね。どうしてもマニュアルでは解決できなければ、上司がいるのではないでしょうか。その時の為の上司です。逆に難しい問題で上司の意見を伺わないと、上司も嫌になりますが…
私がアルバイトをやっていた頃も、一流企業の係長をやっていた頃も太極拳を練習していることは同僚も上司も何も知りませんでした。当たり前ですね。これは仕事と関係ないわけですので、会社でこれらのことを言及する必要がありません。カメラメーカーでの仕事ですので、写真という趣味はまったく隠していませんでした。写真はもはや入社の際に大いにアピールさせていただきましたね。もちろん、当時では自分自身の属する一眼レフカメラは一つもありません。高級品カメラは自分のような貧乏人には似合わないのだと、これはカメラメーカーの社員の頃も私は常に自分自身の言い続けていました。今になって、ある程度の生活ができていて、若干の贅沢もしますが、昔では、何かを買うと私は何故か、時給いくらで私はこれを買うには何ヶ月のバイト代になるのかとの基準で計算していましたね。さすがに今になってはこのような計算はあまりしなくなりました。私はレストランで働きはじめた頃の時給は700円でした。今現在ではこのような時給はないと思いますね。私は現在の太極拳研究会で皆様にお願いしている給料は基本的に一人1時間1時間千円になります。これ以上はいただいておりません。コロナウィルスで会員がやめられると当然、時給も下がります。
日本国の個人事業主は基本的に時給をいただいているようなものです。つまり、アルバイトですね。伝統的な分野においては本当に手を取って、自身の感覚を徐々に会員さんに伝えていくしかありません。別に推手練習ではなくても、太極拳の基本拳の練習も懸命に感覚を伝えても会員さんの内面的で色々と反発していて、我々教える立場の人間は常に、会員さんや弟子を自分自身の若い頃で太極勁が未熟のことと比べて、いま現在の会員さんや弟子の体の状態がどうなっているのかを大切にしていくしかありません。このように教えると実はかなりしんどいです。もちろん、この流派を背負っている以上、私も頑張るしかありません。
現在のようにかなり低い時給を設定しているのは他ではなく、日本国が実に景気が悪いからです。よって、私がいただく時給もあまり高く設定できませんね。日本国が少しでも早く、かつての強い日本に戻ってきてくれれば、私もきっと、もう少し時給を値上がりしますが、現状を拝見していると私は強い日本があまり戻ってこないのではないかと感じています。
そもそも、伝統文化を後の世に伝えていくには、決して金銭で捗れるものではありません。
馬岳梁先生と呉英華先生のように、何とか国からお給料が出るならば、無償で真面目に太極拳を練習する者を選ぶことは自然とできるようになります。お給料を取らないのならば、人々は学び易いですね。貧しい人で月謝が払えないかもしれませんが、練習する時は誰よりも真剣でただ、黙々と毎日のように続けるだけです。師匠に何かの秘伝を強要することもなければ、他に人と手を合わせたくなる貪欲もありません。
国からお金が出れば、会員さんや弟子に時給をいただくなくても生活はできますね。私はなんとか定年退職して、なんとか毎日の糧があればもう十分に満足です。この状態で一部の方に呉式のすべてを伝授する夢は昔から見ていますが、実現は無理みたいですね。
今日の日本社会は、誰でも生涯現役を覚悟すべきです。我々の体はきっと、もっと長持ちできる状態が望ましいです。懸命にお手伝いいたします。
封建社会では、手抜きしない太極拳は家の中でしか見せません。私は研究会の中で出来る限り、かつての家の中の太極拳を教えております。これは、家の中の太極拳の短縮版です。
会員様募集しております。
伝統太極は本来、練習する際に音楽をかけるべきではありません。その理由は、耳が脳にかなり近く、刺激的な音や声は脳の絶対的な静粛を邪魔するからです。もちろん、太極の凄い達人ならば、脳が音楽の振動を感じても絶対的な静粛を守り、逆に体内の内勁で音楽による空気の振動と同調して動くことは可能です。
私はこれを目標にして修行致します。
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