第188話 呉式太極拳順展会
- 2016/03/01
- 01:21

呉式太極拳順展会は本日からスタートする新しい太極拳教室です。会長の今井秀実は二年前に私の呉式太極拳研究会に来た学生です。二時間に渡る研究会の説明と今井氏が入会希望を私にアピールし、その場での入会は当研究会の会則で許されていない為、当時の彼は他の入会希望者と全く同じように、三回の無料見学を経てから、今井氏のご希望があっての入会でした。
そして、今井氏に関しては、他の会員さんと違って、彼はその当時から昨年の12月末までは極真空手の二段であり、空手道場の指導者でもあった為、研究会の中で彼の身分を公開できていても、彼が空手の指導者でありながら中国武術を密かに修練していることは公にはできませんでした。故に、私は懸命にして他の会員さんの口止めをしていました。
今井秀実氏は約一年前に私に空手をやめて、太極拳教室をやってみたいと願い出たのですが、私は即答しました。もちろん、条件つきです。私が出した条件とは私が出した試験を通ることだけでした。彼はその日から過酷な仕事の合間を縫っては上大岡から私が住む秋津に通い、来る日も来る日も修行をしてきました。これほどに修行をしても太極拳の世界では著しい進歩はないものの、今井氏は諦めることがなく、私が申すことを懸命に記録し数時間も休めずに体を動かし続けていました。
今年の1月20日は彼の試験日でした。私が出した本当に過酷な十項目の難しい試験は正直に申すとあまり簡単ではありませんでした。彼は83点も取りましたね。簡単ではないですよ。
通常、2年間だけの修行で太極拳教室を開くのはほぼ不可能です。しかし、私は敢えてリスクを背負ってでも出させました。これは彼の太極拳が教室をオープンしてもよいことよりも、彼の人間力に魅せられたことになります。彼はいかなる場合でも人を助けることを最優先にしており、自己の利益よりも他人への貢献度を優先する競争社会の中ではとても珍しいことです。このような輝かしい点は私たち道教の子孫も学ぶべきことであり、私も今井氏より沢山の人間力の基本や日本社会の基本を学ばせて頂きました。
今日からは今井秀実氏が新たな挑戦を致します。皆様、どうぞ、暖かい心で彼を見守ってくだされば幸いです。
呉式太極拳 沈 剛 識

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