第2762話 2023年5月31日
- 2023/05/31
- 08:46


ネットで先日の空手の青年格闘家の方とのコラボ動画が上がっています。まあ、私は年齢からするとちょうど青年の方々の倍くらいとのこともあって、自分は毎日のように特に格闘の練習はしていません。そうです。太極拳は実際に格闘技ではありません。太極拳は基本的に相手に向かっていくことはしません。それは、太極の修練者は少しでも人様とぶつかっている状態では、「化」の境地が壊れやすいことから来たものです。
太極の練習の中では、多くの方がご存知の「推手」という名刺はここから来たものです。推手は人様の手を推すではなく、結果的に人と接触してもなるべくぶつからない全身から来る動きの訓練になります。人の手を押すことではなく、「推敲する手、推敲の手段」と解きます。
もちろん、太極も人に向かっていくことはできないわけではありません。もしも、向かっていたとしても自身の体で攻撃した時の衝撃を吸収してしまうことが太極の典型的な攻撃です。これは、つまり、太極勁の「随」ですね。私は40数年も訓練していますが、まだ、この「随」の真髄を掴んでいない気がします。「随」の使い方では、本当に相手を軽く触るだけで相手を倒すことは可能でしょうが、しかし、太極の最も困難なところはここです。太極が理想とする攻め方としては、「随」が最上級レベルのものになりますが、しかし、自分は今回のコラボで確認したところ、まだ完全に習得していないことがわかります。
でも、太極は基本的に養生のために練習しています。太極拳で強くなりたいと言って、見学しに来られるかたは少なくないですが、私はいつものように、太極は即効性がかなり低いと申しあげ続けています。自分の経験からすると太極拳が実戦で少しでも使えるようになるとこれは本当に数十年もかかりますね。すぐに強くなりたい方に対しては私はいつも、太極以外の武術をお勧めしています。
世の中では色々な人は太極もすぐに強くなれると言っていますが、それはその方々の考え方です。
私は自分の師匠からこのように、太極で強くなれることは数十年もかかるとの教えがあって、自分はいつになっても結果的にこれを信じ、正しく、太極の訓練をするならば、いかなる無理な訓練も練習しないことになります。
呉式太極拳上海鑑泉社東京授権点新規会員募集中。老若男女の皆が基本的に養生を目的に練習しています。中には我々の太極を武術として練習している方もいますが、太極は武術にしても養生にしても結果的に練習内容は変わりません。変わるのは、年齢によっての套路の難易度の調整です。これは、教えている私の仕事です。
一緒に練習しましょう。

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