第303話 似鬆非鬆
- 2016/06/21
- 11:26

昨日は太極の動きがどの状態であるべきかを述べたのですが、本日はその続きです。
【武禹襄太極拳解】が曰く、似鬆非鬆、將展未展、勁斷意不斷の中の鬆と展はまさしく、太極の最も大切な状態になります。
しかも、人間である以上、この状態が完璧になることは永遠にないでしょう。積極的に申せば、太極勁は無限に向上し進歩していくことが可能です。裏を返せば、太極は他の色々な武術以上に時間がかかります。
鬆、力んでいない状態です。人間は体の特定な部分を動かすことによって、体の内面が本質的に緩んで行けます。順番として、かなり緩んだ状態になれば、体のどこも動かない静功の修練になります。
人間は完全に弛んでいたら恐らく、寝てしまいます。太極は起きているのに寝ている時と変わらない力まない状態が望ましいです。太極が申している弛みは筋肉と筋肉の間の弛みであって、筋肉が完全に弛んで無くなることではありません。もちろん、筋肉の質も柔らかくなることになります。
展は、体の外面の動きです。將展未展はまさに相手の動きについていく不即不離の状態を語っています。相手の欠点に迫っていく際に、相手の隙を同等の力、同じ方向、同じ深さの勁路を示すならば、我が身は風船のように軟体動物のように相手の隙に埋まっていくことがベストです。
似鬆非鬆、將展未展の結果が勁斷意不斷です。多くの先人が生涯をかけて、この永遠に完成できない状態を追いかけていました。太極修練法が失伝しないように頑張ります。
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