第306話 鹧鸪天【林断山明竹隐墙】
- 2016/06/24
- 02:13

中国宋朝著名詩人蘇徹の詩でございます。
林断山明竹隐墙,
乱蝉衰草小池塘。
翻空白鸟时时见,
照水红蕖细细香。
村舍外,
古城旁,
杖藜徐步转斜阳。
殷勤昨夜三更雨,
又得浮生一日凉。
この詩は蘇徹が黄州という小さな街に左遷された頃の作品です。この詩は彼の隠居生活を描くものです。詩の中では雨後の遊覧で得た心地よさを表現しています。
最初の四句は秋の始まりの頃の景色を描いていました。
立体的な風景が現れました。遠くには生い茂る林と雲にまで届く高い山、近くには新竹が緑の屏風のように広げ、詩人の家である一軒家に囲んでいます。一軒家の近くには池があり、その周りには枯れ始めた草が乱雑に飾られている様子です・・・そして、蝉の鳴き声が入り混ざっています・・・遠景と近景、静形と動景、このような遠近がはっきりしている広角風景はご想像に任せますね。日本語では擬音語、擬態語が多く占められていますが、中国語の古文はもはや、形容詞のような擬人と擬物がよく使われます。詩の中の“断”、“隐”、“明”はもはや、主観的な色彩が非常に強く、一面の風景が目の前にそのまま現れるようで本当に感動ですね。
古代の詩人はいつものように風景から色々な心境を想像することで有名です。勿論、中国古代詩の締めはいつものように擬人と哲学原理で締めくくります。
この詩では、“殷勤”という擬人手法と、庄子の浮生という哲学的な言葉を引用しました。(《庄子·刻意》“其生若浮,其死若休”)
一年の間に人体が気持ちが良いと感じる季節はかなり短いです。人体の健康の為なら、しばし都会から離れることで心身とも大きな収穫を得ることになります。どんなに荒み状態であっても、都会から一歩でも離れれば、私たちはきっと視線が広がります。
近代人には、自分自身に属する時間が大切です。
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