第434話 十年もかかるのか？

太極修練者は色々な癖を修正することで体が理想状態に徐々に近付きます。
これは当然、人によっても大分違います。それぞれの社会経験や職歴、個性や武術経験が人体修正を大きく左右するはずです。
過言を遡り、中国の太極のピークである晩清時代から今日に至るまで、社会の動乱もあって、太極拳やその他の中国武術はどれ程の秘伝を失われたのかを思うと、本当に心痛の限りです。
自画自賛で申し訳ございません。わたくしは自分自身がかなりの優しい人間だと自覚しておりますし、余計な心配もします。昨今では、呉式太極拳の多くの技が失われることを心配するようになりました。
当然、結果として秘伝のトーロを解禁しかありません。
しかし、本日のレッスンで一人の方の癖が中々修正できないこともあって、「無理ぜずにストレスにせずにいこう、かの癖はもしかして十年はかかる」と告げると、「あ、十年もかかるのか？」との返答が来ました。
本音を吐かせていただきますと、わたくしは自分自身のとある癖を四十一年もかけて修正していますが、まだ、修正できていません。十年なら本当に短い期間ですね。
わたくしはできる限り、呉式太極拳の色々な秘伝を解禁して行きたい気持ちいいはかなり強いです。但し、基本感覚の修正ができないなら、誰であっても秘伝を教えることはあり得ないです。
感覚と癖の修正は太極のすべてです。