第491話 不利から有利へ
- 2016/12/26
- 14:43

クリスマスのテーマで二回も続けて書かせていただきましたが、毎回のように世界の古典哲学に触れさせていただき、私たちの専門である太極がいかに古典哲学に繋がっていることを述べらせていただきました。説明し続けてきた古典楊式太極の理論も終りに差し掛かり、わたくしがお正月の仕事先へ渡航する前日の明日には最終章になりそうです。楊式太極の理論の結論はおそらく、明後日の空港の待機時間でも書いてみたいですね。
楊式太極の一定レベルにたどり着いた方はこの三点を一番大切にしているはずです。これはつまり、以静制動、以柔克剛、以無打有であります。
以静制動は守る戦略になり、力の経済的な原則が戦術になります。太極の原理では、動いていない状態で相手の動を対応し、少ない動きで相手の大きい幅の動に向かうのです。当然、これは硬直した静の状態ではなく、妥当な動きが太極の根本です。妥当に動いていなければ太極とは言えません。
静かであれば相手の動きが見えてくるはずです。どのような戦いの環境であっても、相手が急ぐ気持ちなら我は落ち着き、相手がパワーでくるなら我は柔で、こうすれば時間と空間の延長になり、持久力でも勝ちます。
こう一つの観点からすれば、以柔克剛、以無打有の原理も同様です。柔は相手の攻めがかかった一瞬の緩和の基本です。太極で数十年も修練して、何も習得できない者がみられるのですが、力を捨てられないことが問題です。
この世には何もない状態が一番欠点が少ないはずです。太極の最上級の凌空勁や引進落空もこの何もない状態から得られるのです。
古代の太極修練は何の用法も言及しないものでした。
どのような太極が皆様に役立つのかは、是非とも実験なさってください。
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