第705話 地味でギリギリ
- 2017/07/30
- 08:51

世界で太極拳に対しては色々な言葉で現しています。優雅でそよ風のように若いステップは漂う感じさえします。このような太極拳はどうしても多くのポイントで全体のバランスが崩れ、当然、これを格闘の場合ではおすすめできませんね。
でも、はっきり言って、武術は実用性がどんどんなくなってきたことの最大の原因は紛れもなく、平和時代が人体による格闘が必要なくなったことしか考えられません。昨今の中国のネットで、「五穀を食べない」(この世の者ではないという意味)の透明な太極拳が、仙女とでもよく例えられていて、それに対する賛辞は日本語の表現よりもかなりオーバーしていますね。
実際に太極の各ポイントはどのようなものかは誰も口にしなくなったこともあって、私が時折、数百年前の地味かつ一個一個のギリギリの着地と足の離陸のポイントを語ると多くの方のご納得を簡単にいただいていることから、人間は本来、地味で哲学的な動きに似合うことがわかります。
先般、北海道の講習会で、多くの太極拳の先生が正しい太極の足の離陸とタイミングと着陸時の状態などを興味深くチェックされて、誰もがまったく優雅とは言えない動きを練習して、このような動きが人類のあるべきものだとの共通認識に至っています。地味でギリギリの動きは武術の養生の基本です。養生の元、体のバランスが維持されているところで、制定での得点を狙うならば一石二鳥ですが、高い得点を得て体のバランスを放棄すれば、自分自身に無責任ですね。どの分野の武術をも健康が大切です。
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