第743話 信頼関係
- 2017/08/27
- 01:03

武術や太極の世界では、師弟の間の信頼関係が最も大切だと言われていますが、先師馬岳梁、呉英華の時代から、弟子の一部がまったく師匠の教えを無視し、適当に太極を解釈していましたね。中には、出鱈目に著書をする者もいました。
人類は人様の考えに反発し従わない事は、人間の本性と言っても過言ではないですが、武術をできる限り正確に習得したいならば、師匠が教えることをできる限り再現し練習を繰り返しすることに徹することでしょう。
今日の一部の日本武道の伝承者がかなり真面目に師匠の教えを守っています。武術は通常、一つの形でまったく変えることなく、その形をいかに正確に行われるかが根本のようですが、太極のような一つの状態を訓練する武術は内面的な状態の変化によって、外的な動きも徐々に変わっていきますし、体格や性格の異なりでも形が微妙に変わってきます。この形の変形は、師弟であっても、夫婦であっても避けられないようですね。
正確な形での伝承にせよ、体の状態に伝承にせよ、それぞれの先代の教えが完全に無視された上での伝承は納得できないですし、弟子の様々な勘違いで伝承は武術武道の型崩れに繋がっていると言われても過言ではありません。
型崩れがあっても体を一定の動きでスポーツ効果が得られますが、適当に内面的な動きを説明して、内的な動きに繋がらない上、体の崩壊に至ってしまえばすべてがお終いです。
色々なあり得ない伝承があって、某巨匠の弟子という肩書きだけが欲しがることで適当に武術を解釈する人もいれば、最初から色々な武術を貼り合わせして作り上げた中々理解できないものもあれば、頭だけで武術を考えてそれを人に教えている者もいます。
私見ですが、武術流派の伝承者は少なくとも師匠との信頼関係を懸命に築いていく必要があると思います。この点について自信がない方は少なくとも、入門する前に自分自身に人を信頼することの確認を行うべきだと思います。信頼がなければ伝承も不可能です。
一人の人間が今までにない武術を作ってしまうこともまったく不可能ではありません。それはかなりの長い期間の厳しい修行、人間力がかなり高レベルまでに築かれ、武術の本質への悟りが備わっていなければ決してあり得ないことです。適当に武術を作らないようにしましょう。
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