第746話 体の理性
- 2017/08/30
- 10:13

一般的に申すと人間の体で何かを感じるとよくも悪くも感性と言われますが、世の色々な感覚が公式化され、定義付けが決定すればほぼ自動的に理性に昇格します。
しかし、格闘の中でははっきり申すと、いちいち套路を思い出して相手にかかっていくこともなければ、人から受けた攻撃のデータを一旦、脳に戻して、それを分析して脳が更に体に指令をして対応するような暇はないはずです。
よって、武術や武道は、脳の感性の形成と言うよりも、体の感性で相手とかかった瞬間にそれを処理していくことになります。
太極では、体の理性として、「筋、骨、皮」の段階があります。それは、初心者では基本的に筋力レベルで相手の攻めを処理する感性的な体の使い方に対して、筋力が自分自身の動きに対する影響がかなり少なくなる関節の動きがほぼ中級者、皮や立っている毛が相手の動きを感じたら瞬時に対応したことで初めて人体の理性状態と言えるのです。
武術は、体の瞬時の細かい対応が如何に脳の分析を通さないで行なって入れば、その速度は当然早くなります。逆に考えると人間の脳は果たして、そのすべての指令は体が何%ほどに忠実に実施したのでしょうか。結果からすると武術は、脳の感性で体を支配していくよりも体の感性で相手との衝撃を処理していくしかありません。特殊部隊の兵士は私にこのように話したことがあります。「実戦の中で武術の用法を思い出す暇なんかはないよ!」
体で相手との処理を行うことは、特殊部隊も太極も同じです。ただ、処理の仕方が違うだけですね。それは、太極は一人の人間が90歳になったところでどのように相手との衝突に向き合うかを最優先に考えているからです。
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