第777話 30年の変遷
- 2017/09/30
- 01:19

私達は丁度、平成のはじめの頃に来日していましたが、諸事情で平成が丁度、30年で終えるようになり、平成で育った外国人の我々はちょっびり寂しい気持ちになります。まあ、平成は確実に終わることになります。
我々は、日本国の十分の一程の収入で来日しました。はっきり申しますと日本国学校の授業料も大学の授業料も、アルバイト代で賄っていました。知人は毎晩2時間の睡眠で6年間も続いたと伺っております。まあ、すべては授業料の為でしたね。もちろん、今日も中国から留学生が来日していますが、今日の中国人の平均年収が日本を完全に超えたとは言えませんが、今日の留学してくる学生は裕福ですよ。おそらく、アルバイトをする必要もありません。当時の我々の中の一部はこのような考えさえ持っていました。日本の収入は我々の国の十倍です。仕事も我が国の十倍程に激しくなるとも仕方がないと、まあ、随分と適当な計算ですね。
30年間、日本はかなり変わりました。スマホの普及さえ、隣の韓国や中国に若干遅れているものの、現在では通勤途中でさえスマホを見ながら歩行している方が多く、法律では運転しながらのスマホは禁じていますが、スマホを見ながらの歩行で他人にかけた迷惑は法律問題として取り上げられていません。この30年間ではどれほどに見失ったのか、どれほどに得が得られたのかは社会学者の研究に任せた方が良いかと思いますが、経済の低迷と技術の進歩はいっつうの正反対の矛盾であることは間違いないようですね。
90年代初頭にわたくしも一度、太極拳教室を開こうと考えたことがありますが、自己の感覚を人々に伝えられないと武術の教学は困難であることと、景気低迷と業界競争の激しさが増すことから断念に至りました。今日では技術の進歩はまったく疑うことはしなくてもよいですが、景気の低迷がいっこうに変わりません。わたくしの日本語もおそらく、多くの外国人と同様に永遠に完成することがない中で、わたくしは太極拳教室を選んでおります。
人間は切羽詰まっていれば、どのような不可能と思われることも可能にできます。
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