第825話 鬼手、神手
- 2017/11/23
- 02:14

かつての中国人はよく内家拳の色々なわけがわからない手の数々を「鬼手」と言っていました。「十大形」を数十年正しい訓練で得た電光石火のような一撃は1970年代の纪晋山老师より拝見いたしました。中国少林拳法の内家拳の非常に重厚かつ緩んだ状態からの発勁は体の揺れがほとんどない状態が確認できます。かつての上海の巷ではこれらを「鬼手」という称号を色々な武術家に与えていましたね。太極門の中でも色々と独特な勁路で非常に不思議な戦い方がありました。
私の流派では、一般的に数十年の推手練習と慢架、快架練習を重ねて行けば、高度な「五封六閉手」が使えるようになります。私は44年もやってきたのですが、一定レベルの勁路は使えるものの、まだまだ再上級の体の使い方が身についたとは言えません。当家の体の状態の練習はかなり自分自身をギリギリまで追い込むことが多いのです。しかし、今日の色々な偉い鑑泉社の先生は負けるのを恐れていて、自分自身を窮地まで追い込まなくなりました。まあ、これはまだよいほうだと思いますが、今日の一部の太極門の大先生はほとんど練習していません。そうすると年齢やその他の諸事情で力がなくなれば、何もできなくなります。
張三豊直系の宋遠橋十七世が残してくれた十ヶ条の太極拳論の最後に「太極乾坤手」というものが残されております。「五封六閉手」が一般的に人間の手山陽経絡に触る事で相手の重心をコントロールするようになりますが、「太極乾坤手」は逆に手三陰経絡に染み込む勁によって相手の内面世界での僅かな不安定に密着する体全体の状態になります。
鬼手、神手はあくまでもかつての上海の巷で囁かれていた色々な噂です。太極の高度な勁の理屈は先代の二人より教わっておりますが、実際にこのような手をしっかりと使えるようになるのはもっと色々なしっかりした修練が必要です。私は色々な太極拳教室であまり太極用法をあまり言及しないのもこれです。でも、これからはある程度に触れるようにしていきます。もちろん、太極用法の難しさを多くの方に理解していただくためです。
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