第862話 年間まとめその三
- 2017/12/30
- 10:00

奇しくも、王宗岳理論にしても宋遠橋理論にしても、共に「固有分明」を言及しております。「固有分明」を語るには当然、人間にとって当たり前の遺伝子から来るすべての動態である先天の力と、人間が体全体の出来る限りの緩みから来る電光石火の人類ではない動きの後天の力への理解が大切です。年末になって私はかなり大胆に先天と後天を語りましたが、後天の訓練の途中であるわたくしは今後、あくまでも修業者として皆様と一緒に練習する気持ちはおそらく、少しでも後天の恩恵に触れた者のみが感じるようになります。練習もせずにして適当に太極を語る人間は本当に理解し難いですね。
今年は北海道中国武術倶楽部のお陰さまで私はスポーツと太極の違い語る機会がかなり増えました。多くの制定選手が伝統太極を練習することによって、身体能力が著しく向上していると私は感じています。伝統太極は元々制定種目の大元であり、太極の故郷である中国ではもはや、制定のトップ選手が必ずと言ってもよい位に伝統太極を修練しています。もちろん、中国のトップ選手も自分自身がまるで太極の巨匠のような振る舞いはしません。中国以外の地域で、一部の世界大会でメダルを取得した後に自分自身が世界無敵になった行動を見せるのですが、これはただの愚か者に過ぎませんね。
当研究会では最も長い方が約四年の太極練習を続けて参りましたが、この時点で先天と後天、「固有分明」を解釈してもまだ理解し難いはずです。しかし、少なくとも私達の太極の訓練の方向性をしっかりと示して行かなければ、もしかして多くの方が初心者の時点で太極の方向がずれれば、無駄な訓練をすることになります。
今年の色々な教室で会員の皆様に我々人類の体のあり方を説明しています。もちろん、これは体が一つのよい状態としての健康と武術戦闘法にも繋がっております。「固有分明」は私達に現在の体を鍛えていくことと、養っていくことの違いを説明しています。私達の体は遺伝子レベルで色々な機能を受け継がれていますが、太極修練はこの遺伝子で受け継がれている機能から徐々に離れる訓練です。
これは、わたくしがこの一年に会員やその他の多くの方に申し上げている重点であります。どうぞ、思い出していただければ幸いです。
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