第882話 百歩三百歩
- 2018/01/19
- 10:52
呉式太極拳研究会も間も無く5年目に入り、多くの方が体の状態が代わり、太極勁路らしい外的な動きに近づいてきたことは喜ばしい限りです。
一方、十三勢に少しでも近づくのならば、難しい動きの要求もつきものです。研究会では一部の方には難しい話をすることも避けられなくなりました。
昨日のレッスンでも太極拳手合いの腰の動きについて随分語りました。太極手合いの一歩も譲らない腰椎の動きならば、体の他の部分による誘導がまったくなく、腰椎が自ら液体の流れのような回転や上昇になります。2011年にわたくしが帰郷の際、丁度鑑泉社主催の公開講座が開催され、その1コマを担当させていただきました。その時もこのような腰椎の話をしました。講座休憩の時に数人の中国武術高段位の人に声かけられ、私が申す腰椎の動きは簡単だと偉そうに言っていましたね。実際に確認したところ、彼らはただ、骨盤を固く捻っただけでした。まあ、その後のレッスンでは人間の腰と骨盤の違いを随分と時間をかけて説明を行ったわけですが・・・
太極は体の状態であり、年数をかけて練習してもあまり結果が出ないのが普通ですが、よって、日本語で申す百歩譲っての話も昨日は会員の一部に話しました。太極の腰椎のみの自動はかなり難しく、体の他の部分で誘導するならば、腰椎より一番遠い我々の末端である指先に力を込めることになります。百歩譲ってもこのくらいの話です。これも太極修練の中で避けては通らない一環になります。
少し昔の太極門の中では、肘から指先まで全体的に力を込めて腰椎の移動を誘導する練習法があります。まあ、このくらいの動きは三百歩を譲っての話ですね。武術は腰椎の自動による回転や発勁は基本になります。人間の体幹や首での力みは腰椎以外の高いところに重心をとることになり、私が申す三百歩を譲っての話はすべての武術、武道に共通する基本です。
首の回転で腰椎を連動することや胸や肩に力を込めての腰椎への連動、腰を止めての骨盤の回転などは三百歩以外の話です。この状態ではもはや武術や武道から離れた話になります。
スポンサーサイト