第922話 身正手斜
- 2018/02/28
- 11:48

世間では呉式太極拳の色々な斜めの動きに関心を持たれていますが、それもそうです。呉式太極拳の形は今日の中国五大流派の中では一位か二位を争う程に歴史が短いものの、その形や勁路への解釈は最古のものです。実際に申しますと、少なくとも楊式太極拳は少し前にまだ前傾姿勢で太極拳の練習をしていました。その他の流派も修練者によっては、体の緩みによって外的な前傾が確認しています。
何故、前傾かと言われれば、人体を天秤のように使えば、当然、上半身を前傾すべきです。もちろん、力で体を前に倒すならば、体の各パーツが力の伝達をせず、自然の弓歩も虚歩もできないと思います。世界の色々な太極拳教室の動画を拝見していると、伝統と言っている教室の多くがこのようなものが沢山確認しています。まあ、制定太極拳をしっかりやっている方が本当に美しいですね。
「身正手斜」、体と手が違う方向へ向かうという意味になります。基本的に人間は手を伸ばすと、筋肉と筋肉が互いに繋がっている状態もあって、体の他の部分も繋がられて行きます。わかりやすく言えば、体がかなり硬い状態で手だけで動くことです。その結果、手を出すと体も必ず動いてしまい、重心の不安定にも繋がりますね。
太極の理想はこうです。手を動かすと体が動じないことです。これこそが体全体を使っての攻撃になります。体が手の動きに連れられて動くのがただの一般的に誰もができる動きです。もちろん、手も緩まれていて、体も力んでいない状態が最も望ましいですが、この状態は「身正手斜」の練習を長く続くことで得られるのです。一本道です。
体のパーツ同士が互いに関係しないほどに緩んでいれば、体全体が一種の液体のような動きができます。太極が望んでいるのはこれです。こうなれば、どのような動きも体全体で行うようになります。このような状態は体の各パーツが単独に動く練習から始まります。
ああ、本日は随分と秘伝を喋ってしまいましたね・・・
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