第975話 極柔即剛極虛靈、運若抽絲處處明
- 2018/04/22
- 01:49

世界のYou tubeでは中国国内の番組も大勢アップされています。中には、太極拳はいかなる武術でどのように使うのかとの番組もありますね。おそらく、陳氏太極はかなり動きが大きく、誰が見てもわかりやすいこともあって、陳氏の先生が太極拳を紹介する番組が自然と増えます。しかし、はっきりしているのはテレビで見せている陳氏やその他の太極流派の代表格の先生は、太極拳の動作の一つで簡単に人を飛ばしたりしますが、その動作を使っても皆様は何も効果が得られないはずです。そして、その動きをただ繰り返し練習して、いつになっても使えるようになり、人を飛ばしたりすることは不可能です。
乾隆抄本が申している「極柔即剛極虛靈」は、太極拳の発勁は柔を極めていないとまったく無理だとのことです。全身の緩みの度合いが統合されていれば、一点に対する全身の攻撃がはじめて可能になります。これこそが太極の剛です。柔を極め、全身の緩みの度合いを統合するには、自分自身の動きを相手に見せない気持ち、相手に勝つ気持ちを無くすことから始まります。

そして、「運若抽絲處處明」は柔を極める為の実際の動きを物語っています。もちろん、これも結果です。一つひとつの動きを洗練したものになるのは、その動きがかなり軽くしなければなりません。蚕の糸一本を引っ張り出すと同様に行うようになります。もちろん、手だけではなく、体のどの部位も蚕の糸を引くほどの動作をしなければなりません。そうすると結果的に人間の体はかなり高い密度での「不頂丢」が見込めます。
太極の特徴はこうです。巨匠の一つの動きをご覧になると、何故か非常に簡単そうに見えます。太極大師の動きを拝見するとなんとなく、あまりたいしたことではないように感じます。制定太極拳のようなゆったりした美しい動きもなければ、自選何度のような激しさもありません。これはいわゆる「虛靈」ですね。太極は見える動作を長期間に渡り訓練すれば、その動きもかなり目立たなくなります。このようになれば、はじめて十三勢という人間の内面的な動きが出来上がって参ります。
十三勢とは、人間の体内の十三種類の内力です。十三種類の言葉から来る動作ではありません。十三勢は独特な太極拳の正確な練習と、ほぼ失伝した「八門五歩」の気功練習、太極盘手を数十年もかけての修練になります。十三勢は太極門の秘宝です。嘘の十三勢はかなり多いですので、注意しましょう。
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