第979話 固有分明がかかる時間
- 2018/04/26
- 11:46

というよりも、固有分明に到達出来る者は本当に限られています。太極が本当に好きな人ではなければ、毎日のように暗示もせずに、数十年も著しい強さを得られないまま続けることは簡単ではないです。
体の色々なところに意識をかけたり、無理して呼吸を動作に合わせたり、すべての脳の指令による我々の体の内外の動きは「固有分明」を妨げることになります。
わかりやすく申せば、脳で体を動かすことはまったく珍しくないです。我々の毎日のすべての行動が脳の指令によるものです。太極専門用語で申す「先天」はこのような我々の当たり前の脳の指令による生活です。タオイズムでは更に、「固有」という専門用語で我々の当たり前の体と脳の状態を説明しています。
我々の内外の動きが脳の指令下によるものから離脱し、内外ともに脊髄反射に近い動きがタオイズムが申す固有分明です。
外的な固有分明から、内面的な脳の指令を受けない動きができれば、外的な動きをしなくても内面的なだけの運動ができるようになります。わかりやすく言えば、動く気功から動かない気功まではかなりの時間がかかります。

当然、脳の指令から遊離した動きも出来ていないのに、体を止めての内勁だけを脳の指令で動かす練習は当然のように本末転倒です。
太極拳の練習はすべてにおいての自由が必要です。体の一部への集中とか、用法を考えながらの練習はただ、脳の意念で体の自由を奪っているだけです。
例えば、二人の剣士が真剣で斬り合いに当たって、親指に意識をするとか、丹田に気を集めるとかはしないでしょう。太極拳も同様です。戦う太極拳であればある程に、体の一種の自然反応が求められます。
これこそ、タオイズムが申している「固有分明」です。
スポンサーサイト