第980話 足の横幅
- 2018/04/27
- 12:23

本日のテーマは当然、太極拳の下半身の動作になります。日常生活で大きな横幅で歩行していたらおかしいでしょうね。酩酊している者とか、かなり下半身が弱い方が足を大股にして歩行することは、皆様もきっとご覧になったことがあります。
人間は諸事情で歩行の重心が不安定になり、横幅で歩くようになります。
もちろん、武術の世界では重心が非常に大切ですので、一般的に前後と横の幅の両立で一瞬にぶつけた際に崩れないようにします。横幅を取らなければ、重心がかなり不安定であることも武術や武道の基本です。
体操でしかも女性しかない平均台という種目があります。幅10cm程の長い梁状のものを1つの側面が水平になるように支柱または台座で固定した器具で選手はこの水平面上で演技を行います。女性独特な柔軟さと小柄な体は重心が取りやすいこともあって、現在、五輪種目になっています。私は平均台に乗ったことがあり、男性の私は一歩も動けませんでした。
ただ、人間の骨格からすると人体は、ゆっくりした動きの中で横幅も縦幅も両立した上での前進後退は簡単ではありません。しかも、動きの中に内外の断点を少なくしなければなりません。太極拳練習のもっとも難しいところになります。
はっきり申すと、いわゆる伝統太極拳も制定太極拳の選手も、人間の骨格は変わりません。太極の基本が守っていれば太極の練習は基本的に流派と種目の差はありません。ただ、適当に作った太極拳や長い間に改ざんされつつの武術を練習しても何も意味がありません。
武術は誰でも作られるものではありません。

太極拳には推手という練習法があります。一般的に一定の速さでの練習になりますが、横幅も取らずに、骨盤の捻りもコントロールしなければ、膝の怪我は避けられません。これは、整形外科の医者による検証も得ています。
推手の中で縦も横も一定の幅で前後の動作をすると、安定は下がります。縦の攻めを止めるには一定の効果がありますが、しかし、太極推手は相手の攻めや動きを止めるものではなく、相手に致命的な一撃を喰らわせるものでもありません。
健康、武術のいずれの意味で、太極拳の下半身は一定の横幅を保つべくものです。
これ以上は教室でお話しします。
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