第982話 順勢借力
- 2018/04/29
- 01:39
太極拳はもともと、中国武術の一種です。中国語の言葉が沢山出てきますね。本日のテーマも中国語の言葉ですが、同じ漢字系の国である日本の皆様は簡単に漢字で理解できるはずです。これほどにわかりやすい言葉は本当に助かりますね。
太極拳は力を使うことを勧めず、力を借りることを勧めています。わかりやすく言えば、相手の反応する力を借りることです。力を借りる原理は潜水に似ています。泳げる者は水の浮力、圧力と抵抗を知るはずです。人間は水のような浮かすことや流れること、または激流のような力や渦巻くのような力などの使い方を理解すべきです。
推手は水泳に似ています。いかなる場合でも、相手を水のような存在にして、自分自身は水の上に浮かされていることができればよいです。相手の攻め方が潮が上がるようで浮き沈み、往復に流れるならば、こちらは体を縦に上に向かって水を蹴り、重心を維持するようになります。川を横に水泳して渡る場合は水流の方向を把握していれば向こう岸に至るのでしょう。古代中国では、川の流れで数10キロ移動する方法があり、両足は沈まないように蹴り、あまり力を使わずにして頭に物を乗せていて、濡れることもなく、水の浮力を利用しています。
太極推手は川の流れで移動することに近いです。推手の上手な人は相手の勢いと力借りて、好きなように相手と揶揄します。下手な人は無理して力を使い、体のどこも止められて動けば動くほどに体が重たくなります。前へ攻撃することもできずに手合いでは不利になりますね。
相手の力を借りることは船を走らせるようになります。道具で船を走らせることもプロペラでは知らせても理屈は同じ、飛行機も船もプロペラの原理は同様で、他人の力を借りて自分の為に使います。太極を学ぶ者は水の抵抗と空気の抵抗を理解できれば、かなりの近道を得られるのでしょう。
中国語の中では、借風驶帆、順水推舟,顺之則浮,逆之則沉などの四字熟語があります。
借風驶帆:帆は風の方向を確認して張ります。
順水推舟:川の流れに従って船を押す
顺之则浮:見ずに逆らわなければ、浮きます。
逆之則沉:水に逆らえば、沈んでしまうでしょう。
船が激流に遭った際、水棹一発のテクニックで危険から守るのですが、水棹の使い方が間違えば、船は滅びますね。